見出し画像

予想どおりに不合理/2章 需要と供給の誤謬(アンカリング)

こんにちは。会社で毎週実施しているブレスト会議で取り上げた書籍「予想どおりに不合理」の2章を解説したいと思います。
ブレスト会議については以下のページにまとめてみました。
参加大歓迎ですので、気になる方はお待ちしています。

刷り込みの効果

鳥の雛が最初に見たものを親として認識する現象を「刷り込み」といいますが、我々の世界にも刷り込みははびこっています。例えば、宝石が高いものだというイメージ。これも一種の刷り込みです。企業はこの刷り込み効果を巧みに扱い、私たちを操作しています。
面白い実験があります。社会保険番号の下二桁を利用する実験です。ワインやPC周辺機器の名前が書かれたリストがあります。ここの右端に、自分の社会保険番号の下二桁を書かせます。64なら64とワインやマウスの名前の横に書いていきます。その次に、実際にそのワインをいくらでなら買うのか、という数字を書いていきます。実験だとアメリカなので、20ドルとか40ドルとか…(日本で実験する場合は下4桁のほうがいいかも?)。するとどうなるのか。社会保険番号が小さい人は、いくらで買うかの金額も低く書き、社会保険番号が高い人は、いくらで買うかの金額を高く書きがちだという結果が出たのです。つまり、最初の何の意味も持たない数字が刷り込みの役割を果たし、それに引っ張られるような形でその後の結果に結びついてしまうということです。これは本書では「恣意の一貫性」とよんでいます。価格は恣意的に決められるということです。なんか怖い感じしませんか?
私たちは知らず識らずのうちにこの刷り込みが行われているということです。無意識下で行われるので非常にたちが悪い。

刷り込みを外して、新たな刷り込みに変える

ビジネスをしていく上で刷り込みほど厄介なものはありません。
特に、安い金額帯の商売をしていると、その安い金額が世間一般で刷り込まれているので、どうしてもそこと比較されてしまうのです。高く売りたい場合、その安い金額の刷り込みの呪縛からどうやって逃れるのかが鍵になります。
そこで上手にやったのがスターバックスです。
スターバックスはコーヒーショップなんですが、単なるコーヒーショップとは一線を画す様々な取り組みを行いました。
コーヒーと言えば、ダンキンドーナツが主流。安いコーヒーというのが当たり前だったんですね。だから普通にコーヒーを売れば「ダンキンドーナツのほうが安いじゃん。スタバ高ぇ」ってなって売れなくなるわけなんですが、そこをスタバは刷り込みの視点から外れるように、うまくずらしたのです。
わかりやすい例は、大きさの表記。ダンキンドーナツはスモール、ミディアム、ラージなんですが、スタバはショート、トール、グランデ、ベンティと訳のわからない名前をつけています笑。さらにカフェアメリカーノ、カフェミスト、マキアート、フラペチーノなど、なんだかーのばかりのややこしい名前に満ち溢れています。その他にも淹れたてのコーヒーにするとか空間をおしゃれにするとか、とにかくダンキンドーナツと比べられないように色々変えまくっているんです。その結果、これはダンキンドーナツとまったく別物だ、と思わせることに成功し、スタバはスタバ、という新たな刷り込みをすることに成功したんです。なるほど、スタバのわけわからんサイズ展開はここに起因していたのかと、本当に目からウロコでした。意味のわからないところに大いなる意味があるのだなぁと思いましたよ。
以前読んだ本で、市場No.1を作るためには、新しい市場を作らなければならない。自分で作り出した市場でNo.1をとることが大事だ、と書かれておりましたが、刷り込みから逃れるというのも大きな理由になりそうですね。

恣意の一貫性を利用するアイディア

さて、先程の「恣意の一貫性」を利用してなにかできないものか…と一計を案じてみました。
例えば、ライブ配信の時に投げ銭をしてもらいたい場合。視聴者にまず、1万とコメントに無意味に書かせましょう。そうすると、いざ投げ銭をする際に、払う金額が上がるのではないか。先の実験例からすると、たぶん投げ銭の価格、上がると思います笑。誰かやってみてください。
この前初めてポーカーをやったんですが、あれは良くないですね笑。だって、お金を模したチップを使ってゲームをするわけで、それをたくさん使わないといけない仕組みになってるから。だんだん使うことに慣れてしまって、自然と金額がつり上がっていく仕組みですよね。よくできた仕組みだなと思いました。射幸心も相まって、永遠に儲かるビジネスだなと思います。

アンカリングの本質とはなにか

刷り込みをアンカリングとも言います。これは船が錨(アンカー)を下ろすことに由来しているそうです。アンカリングはあらゆるところで起こっているんですが、その本質とはなにかを考えてみました。
それは「比較」なのではないかと。
人間は比較してしまう生き物で、1章でも相対性の話がありましたが、比較があるからこそアンカリングが起こるのであって、比較を常に意識することが大事なのかなと思います。比較されたいのか、比較されたくないのか。それは両面あって、ビジネスの世界で言えば、自分よりも弱い相手の場合はあえて比較させる。例えば価格競争力があって、うちのほうが安いですよと言ってみたり、製品の質が良いですよ、サービスが良いですよと言ったりできますよね。逆に自分が弱い場合は比較されたら困りますよね。その場合は比較の範囲から外れる努力をしなければなりません。いや、うちはコーヒーショップじゃないんですよ、空間を売っているんですよ、みたいな。「比較」をうまく使いこなすことで、ビジネス的に上手に立ち回れるようになるのではないかと思っています。
私が学んでいたランチェスター戦略では、「強者は同質化、弱者は差別化」と言われていました。まさに上に書いたとおりで、強ければ弱いやつのマネをすればいい、弱ければ真似されないように工夫することが大事だということですね。あらゆる戦略本でもそのことは書かれているので、これは真理なんだろうと思います。

ブレスト会議に参加してみよう

そんなことで、今回は「刷り込み」についてまとめてみました。
当社では毎週木曜日にブレスト会議というものを行っています。上の記事の内容をみなさんに共有して、それについてまとめて、アイディアを出してということをやっています。いわば頭の体操なわけなんですが、どなたでも無料で参加することができますので、気になった方は以下からご参加いただけたらと思います。
人数が多くなれば、平日夜の枠なんか作って開催するのも面白いかなと思いますので、ご要望があればぜひご意見ください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?