っぽい。
人からの勝手なイメージで、
「○○っぽいですね」と言われること。
昼のテレビの情報番組で、ゲストに対して「○○っぽい」と、勝手な印象や憶測で本人にぶつけてみて、実際はどうなのか、というのを観ていた。
「紅茶、よりは チャイ っぽい」
「おでんで1番好きなの ハンペン っぽい」
みたいな、勝手なイメージである。
それが「それっぽい」と共感できたりして楽しく観ていた。
こういう勝手なイメージは、生きてきた経験上、なんとなく培われていくものだ。
クラスにいた子とか、会社にいるあの人とか、アニメの登場人物とか、近所にいるおじさんやおばさんとか。そういう人たちが、こういうことしそう、こういう物持っていそう、こういう事言いそう、という憶測。
よく日に焼けてアロハシャツを着てニコニコ穏やかそうな50代男性を見かければ、勝手に
「お酒といえば泡盛っぽい」
「ウクレレが弾けるっぽい」
と連想してしまうような。
大雑把だけれど、どこか当たっていそうでもある。
私が人から言われる印象は
「ジムのインストラクターっぽい」
ショートカットの印象と、ジャージっぽいスポーティな服装が多いからかもしれない。実際、スポーツは観るのもやるのも(上手い下手はともかく)好きな方なので、そのイメージはわからなくもない。
「怒ったりしないっぽい」
笑いの沸点が低くよく笑うことや、話し方が比較的ゆっくりで、声も高くないせいかもしれない。もちろん、怒らないわけない、のだけれど、人間だもの。
「美容師っぽい」
これはもう、髪型がコロコロ変わるからだ。自分で自分に飽きてくると、髪型をかえる傾向にある。
「っぽい」というのは、客観的な自分を知るようで面白い、当たらずとも遠からず、自分自身とのズレは大いにある。それぞれが勝手にイメージするだけ、のもの。
勝手なイメージといえば、英語の前置詞について。私はよく、その単語の印象に、人物をイメージしてしまう。共感してもらえる気は、さらさらしないのだけれど。
「as」は、ムーミンにでてくるミイっぽい。
「on」は、おとなしいけどゲームが上手い次男っぽい。
「of」は、痩せ型の背の高いダンガリーシャツの物知りなおじさんっぽくて。
「from」は、ぽっちゃり優しそうでドーナツ食べてそうなお兄ちゃんっぽい。
「to」は、どこへでも1人でいってしまうバックパッカーの三男っぽい。
「in」は、エプロン姿のお母さんに可愛がられて育った一人っ子で小柄な男の子っぽい。
単語のもつ意味とは関係なく、そういうイメージをもっている。字の印象なのか、音の響きなのか、私が生きてくるうちに勝手に作られていったイメージである。
何年か前に江國香織さんの「ホテルカクタス」を読んだとき、似たような感覚を憶えて嬉しくなったのをおぼえている。
三階に住む「帽子」、二階には「きゅうり」が、一階には「数字の2」が住んでいる。それぞれがどんな人物なのか、説明などいらない。
「as」とはたまに遊ぶくらいでいいし、「of」と「from」なら「from」といる方がくつろげるのだ。
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