【読書感想文】シェニール織とか黄肉のメロンとか
江國さんの描く女性だなぁ、と胸を踊らせながら読みました。
立場も考え方も性格も違う、「三人娘」のそれぞれの日常と、三人がお互いにそれぞれの「らしさ」を分かりあっているという心地よさ。そして、歳を重ねた(おそらく50代)彼女たちの、自由度がとても気楽だ。
結婚はもういいけれど、恋人は欲しいという発言が、いかにも、理枝だ。作家の民子と母の薫の家へ、家が見つかるまで居候させてほしいと、半ば強引に転がり込んできた理枝。カラフルでパワフルで、なんというか圧倒的な人だ。
かたや、民子は早希にしてみれば、夫も子供も犬もなく、さぞ淋しい味気ない生活なのだろう、なのだし、理枝と生活できるなんて(一時的にとはいえ)生真面目で寛大で勇敢な人だ。
いっぽうで、早希は、いまだに腕時計のフェイスを内側につける「昭和の淑女」、世話する対象が必要な「ある種の女の人」らしい。
それぞれがそれぞれに、「そう言うだろうな」という発言に、「やっぱり」とそれぞれが納得しながら、三人が三人のまま過ごしていく様は、とても風通しがよく清々しい。
この年齢になったから、なのか、もともと、なのかは分からないけれど、とても素敵な関係だと、読んでいてほこほこになった。
そして民子の母、薫。
歳を重ねるということは、こと女性においては、いろいろなものから「解放」されていくことなのかもしれない。
そして、この江國さんの描く女性たちは、年々その人らしさに素直になっていく。
私は七年後、五十代だ。
とても楽しみになってきた。
理枝のように「恋人がほしい」わけでもないし、早希のような「ある種の女の人」ではないから、きっと民子のようにマイペースに過ごし、男女に括られない関係性の人たちとお茶をしたりして…。
きっと愉しい。
そんなことを思わせてもらえる本でした。
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今年一冊目の読書感想文です。
そういえば、昨年の一冊目も、江國香織さんの本でした。やっぱり、好きなのです。