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おとなになっても。離れていても。
離れて生活していても、好みというのは似るもので、急きょ帰省してきた長女と話していたら、今観たいドラマが同じだった。
Netflix「さよならのつづき」
観たいと思ってたんだよねー、と二人で観た。
有村架純ちゃんの可愛さたるや…。
そして、案の定、そうなりますよね。
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ハンドドリップでコーヒーを淹れたくなって。
コポコポと注ぐ湯に豆がふくらんで、コーヒーの香りがたちこめて、理科のビーカーみたいなガラスのサーバーに琥珀色が積もる。湯気がこもる。
「おいしい」
「でしょ〜」
午後は二人で買い物へ行った。
就活の面談に着ていくオフィスカジュアルは、どこまでカジュアルでいいのかわからずに、うろついているうちに
「わ、これかわいい〜」
「わ、絶対それ好きだと思った〜」
「どうにも紺ブームなんだよねー」
「ネイビーな」
「な、それな」
手に取る服の好み、すれ違う人の会話へのツッコミポイントも同じで、
「聞いた?“この服の汎用性が…”って。」
「汎用性!」
二人で声がぴったりと重なって、笑いこける。
私の手に取るニットにも、
「それさっきのドラマのやつやん」
「完全に引っ張られとるね」
「かわいくない?」
「かわいい、ってか、好きそう」
と完全に頭の中がよまれている。
エレベーターのボタンを押すのも、財布をしまう時にショッピングバッグを預かるのも、コーヒーを飲みたいタイミングも、さすがだなぁと思う。やっぱりこの子は、私から生まれてきたんだなぁ、と。
「親子かっ!」とツッコミ、「親子だわ!」と返させ「何回言わすねん」までのセットを何度もして遊んでいた。
何気ないこういうスタンスが、私と彼女の間にはあって、どっちが親かわからないくらいに持ちつ持たれつだったりする。
夜、前までは苦すぎて飲めなかったのに、今では普通に飲めるようになったビールを、一緒に飲んだ。
ブラックコーヒーも、ビールも、いつの間にか飲めるようになっていて、就活の話をしていても、いろいろな知識が増えていて、気がついたら深い話もできるようになっていた。きっと、仕事を始めたら、もっと広い世界を見ていくんだろう。
それでも。
布団を並べて眠る間、寝返りを何度もうって鼻を啜る彼女を、布団ごとギューっとして眠る。
寝たふりをして、彼女の涙に気がつかないようにして。おとなになったって、子どもになりたい夜もある。
心細い夜を何度も越えて、これからもきっと、越えていくだろう彼女を、それでもやっぱり小さい頃のようにギューっとしておきたかった。
寝たふりをしたまま、気付かれないように。