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菊ねり三年といいますが。


陶芸を習って、七年?
生まれ育った町に、六連房の登り窯ができて、陶芸工房もできて、陶芸やろくろをやってみたいと思っていた私は、子育てが落ち着いてきたタイミングで通うようになった。

実は陶芸は初めてではなく。
地場産業なゆえ、私が小学生のとき高学年の週一の放課後クラブに「陶芸クラブ」があり、私はその部長だった。
小学生ながらちゃんと、電動ロクロで湯呑みや茶碗をひく、本格的なクラブだった。

その時作った湯呑みは、父にプレゼントしたのだけれど、父は生涯その湯呑みを愛用してくれて、今でも仏壇にはその湯呑みでお茶を出している。


きっと、もともと好きなんだと思う。
バタバタと忙しい中でも苦ではなく、工房へ通うのも、教えてもらうことがスッスッと入っていく。

土と仲良くなるには、まずは「練り」からなのだけれど、この時期は土も冷たく硬く、なかなか融通がきかない。それでも、きちんと両手をあて、体温と体重で解していくと、手に馴染み、心を開いてくれる感じがする。
「菊練り」という練りが有名で、土の水分や空気を均一にするよう練っていると、まるで菊の花の形になっていくのだ。菊の花びらのようなヒダの幅が均等に和菓子のようになっていくのが理想。
それを習得するのに、三年はかかると言われている。


体重をのせ、よっせよっせと練り「よろしくね」と、土と関係を築くには大切な時間なのだ。

逆に言えば、ここさえちゃんとできていれば、あとの作業はかなり楽になってくる。すでに扱いやすくなっている土だから、どうこうするにも従順なのだ。

焼き上がると13%縮むことを想定。
ヘビみたいな粘土で支えをしていたら、
ビニール紐が使い勝手いいよ、と教えてもらえた。
聞く大事を、近ごろ学び中。


今日は、デイサービスの利用者さん向け講座の、提案用のサンプルを作っていた。
一人きりで黙々と作るというよりは、利用者さんとのコミニュケーションを楽しみながらの作業になることを想定して、スタエフライブでお相手をしてもらって、楽しい作業ができた。
(というのは後付けな体裁で、ホントは一人で黙々とやるのが寂しかっただけ)

黙々と集中する作品作りもまたいいのだけれど、簡単な工程を一緒にやりながら、ムードメーカーのような方がおしゃべりで盛り上げてくださったりするような明るい講座を提案したいな〜、と思えようなライブだった。

また少し、視野が広がったような気がする。

このあたりでは当たり前すぎて価値も低すぎる陶器や陶芸も、ところ変われば、好きだと言ってもらえる声が聞けて、勇気がでた。

粘土でカッサカサになった手に、ニベアを塗り込み、かっこいい手を目指そうと素直に思った。


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