存在しない小説のワンシーン 書いてみた5
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入り口には「オススメ 本日のランチメニュー」が立てかけた黒板に書いてあって、そこには「特製チーズハンバーグプレート」とあるのを見るともなく見て、これでいいなーと私は即決していたけれど。
久しぶりに女子四人でのランチ。相変わらずオーダー前にあれもいいな、これも食べたいと悩んで決められないのは、ユカちゃんとハルカで。
案外あっさりと、
「私、おろしハンバーグにするー!」となるのはヨウちゃんで、私も、
「オススメのチーズハンバーグにしよっと」
と、やっぱりお店のオススメに従ってみる。
「じゃ、私もチーズハンバーグにする!」と、珍しくキッパリと決めたハルカは、そのままニコッと私を見る。その笑顔に内心、かわいすぎるだろーと叫び出しそうになるのを抑え、スタックカップのお水をコクンと飲みくだす。顔赤くないよね。
「リョウちゃんと同じもの食べたいから」と、私にだけ聞こえるくらい小さな声でサラッと言い足して、ハルカは丁寧にメニューを閉じる。
「お腹すいたねー」
とか言いながら、おしゃべりに戻っていくハルカのさっきの言葉、「あなたと同じもの食べたい」が、Ilove youに聞こえるのは、私たちだけの秘密。
ユカちゃんとヨウちゃんは何も知らなくて、とろけるチーズをびよーんとのばしながら、ハルカが「おいしいね」と笑うたび、私も「おいしいね」と返す。とびきり優しい声でI love youを伝える。
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あおさん原案の存在しない小説のワンシーン♪
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