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周波数が変わるということ。
ザザザーッ、ザザ、ザザッ。
「ん〜、なんか入んないね。」
工房のFMラジオは、仕事中の母や私の耳に、
「今日はショートケーキの日です」
「今年の節分は2月2日なんです」
と、いつか使うかもしれない情報をそれとなく教えてくれて、好奇心旺盛な私たちにはほどよい彩りを添えてくれる情報源なのだが。
なぜかそのラジオの入りが悪く、やたらとノイズが気になるようになり、難しい顔で、伸びる指示棒みたいなアンテナを東へ西へグルグルと回しては、飛んでいるであろう粒子を探っていた。
「このまま入らなかったら、パソコンでradikoにしちゃおうか」
と、二人ごちたせいだろうか。
その週末、母が一人で仕事のとき、ふとラジオ本体の向きをグイッと反対方向へ向けると、見事にすんなり入るようになった。やれやれ。
ラジオは窓を向いているけれど、ノイズはほぼなくなり、パーソナリティの鼻声まで聞き取れるほど(鼻声フェチの私には重要)綺麗に入るようになった。
毎朝の楽しみ、朗読歌詞の曲名当てクイズの
「7回目のベルで、受話器をとった君。名前を言わなくてもすぐ、わかってくれる。」
に、すぐさま
「Automatic!宇多田ヒカル!」
と答えることができるほどに。
周波数はとても身近にある。
☕️.•♬
リビングのテーブルに、ホットココアを入れ、お茶菓子にはブルボンのアルフォート、生チョコトリュフ。おたねさんこと、かきのたねブルボンヌさんをスタエフにご招待して、月星座についておしゃべりをしていた。
「周波数が変わった瞬間があったんでしょうね。」
約1か月前、おたねさんにタロットをひいてもらい、仕事のことや、自分の歩み方について話していたとき、「そういうことか!」とストンと落ちたものがあった。おそらくその時、私の周波数が変わったようなのだ。
それは、まさにラジオのように。
やたらザザザッとノイズを感じていたものが、急にクリアに入って、耳が澄んだような。
くっきりと聴き取れる、鮮やかに目に映るようになったのだと思う。
そっか。そういうことか。
「陶芸教室をしてみない?絵付講座とか、そういうの興味ない?」
ずいぶん久しぶりな友達からの急な連絡も、きっと今だからキャッチできる情報だったから。
以前であれば、
「教えられるほどじゃないし、窯もないし、本業もあるから…」
と断っていたかもしれない。
「わ〜面白そう!やるやる!私だけだと不安だから、窯の師匠にも同席してもらうね!」
と即答できたのは、そういう私になっていたからなのだろう。
師匠に連絡したり、同席してもらうことも、すんなり自然にお願いできて、打ち合わせも、私も師匠も都合がつく日程で、よく晴れた平日に、日差しのたっぷり入る教室で和やかに行われた。
その施設。
廃校になった小学校を活用した障害者の就労支援や、子どもの放課後デイサービス、高齢者デイサービスが併設された、生涯学習施設。
音楽室にはカラオケセット、視聴覚室にはeスポーツ用のPCとゲーミングチェア、美術室には集められた絵画の展示がされギャラリーとなり、調理室ではお料理教室に使用できるという。
そして、理科室には陶芸教室ができるよう、電動ロクロが3台設置されていた。
「いろんな人の趣味の場所や居場所に」
なんて素敵!ワクワクが止まらない!
「私にできることがあれば、ぜひお手伝いさせて」
と胸を躍らせながら打ち合わせをした。
図書館には、フリードリンクのコーナーもあり、毎週月曜には各種福祉相談もできるという。すでに新聞をめくりながらコーヒーを飲むおばちゃんが、穏やなひとときを過ごしておられた。
外の体育倉庫へ電気窯(陶芸の焼成用)も見にいくと、そのわきに積まれた食器に見覚えがあった。
「施設で使ってって寄付してくださったの」
という食器は、父の会社(今は廃業している)の物で、母や私がかつて絵付をしたものだった。
「これ…私が転写貼ったやつだよ」
父の会社の会長の最期は、ここの有料老人ホームにお世話になっていたとのこと。
なにかとご縁を感じる。
それからも、以前の私ならば重い腰をあげなければならなかったようなタスクも、
「はい、では、明日おうかがいいたしますね」
と、サクサク動けたり。
以前から話は出ていたけれど、動きのなかったものが、急にスイスイ動き、すんなり片付いたり。
どれも大きな出来事ではないけれど、一つ一つが着々と動き、片付くものは片付き、突然の訪問者がご縁を運んでみえたりしている。
なるほど周波数。
意識が変わる、見え方が変わる。
受け止め方がかわる、動き方が変わる。
周りが変わる。風向きが変わる。
外はまだ寒いけれど、日差したっぷりの暖かい方へ、気がつけば、少しずつ歩んでいる私がいる。
「イレギュラーがあれば、またいつでも呼んでくださいね」という、たねさんの暖かな声に大きく安心をして、今向いている方向へ、進んでみようと思う。
たねさんこと、書きのたね@ブルボンヌさん。