制服を着たくなくても大丈夫
松月「昨日、夏海くんと自分の中の男女比に
ついて話したの。
私は5:5で、夏海くんは7:3とか。
岬はそういう感覚ある?」
岬「いや、考えたことないっすね。
10:0で男っすわ」
内界の居間でお茶を飲んでいました。
メンバーは私と岬と夏海です。
白い居間の掘りごたつは大きいので、
三人だとゆったり座れます。
テーブルには日本茶とお菓子があって、
のんびり話していました。
岬「兄さんが7:3だと思うってのは
なんかわかりますね。
兄さんはそうかもなって。近くで見てて自然と」
夏海「だろうな。岬が10男ってのもわかる」
松月「言葉で言わなくても
雰囲気で伝わることあるよね」
岬「何がってわけじゃないんすけどね。
だろうなって感じすわ。
兄さん、昔から可愛い人形好きだし、
男子校っぽい話の輪に入ってなかったし、
いとこのお姉さんとめちゃくちゃ話弾んでたし」
ここで岬が首をかしげました。
「兄さんがそうだろうなってのは
なんとなくわかるんすけど、
自分の感覚ではわかんないんすよね。
自分の中に男以外の性別があるってのが
想像できないっつうか」
松月「じゃあ、私の感覚送ろうか?」
これは最近気づいた新機能です。
内界で登場人物の手を取れば、
私の伝えたい「私の感覚の記憶」を
送ることができます。
私の感覚を渡すのではなく、
「私の感覚で過ごした記憶の追体験」です。
人から聞いた思い出話に感情移入して、
リアルに体験した気持ちになるようなものだと
感じています。
私と登場人物との境界がはっきりしたまま、
言葉ではなくイメージを共有できるので、
安全な感じがしています。
「私の感覚と夏海くんの感覚は
また違うだろうけど、
私にとっての5:5や9:1や3:7の感覚がこれ」
岬が頷いたので、手を取りました。
つないだ手から一瞬で記憶が伝わり、
岬の顔色が少し青ざめました。
岬「男優勢7:3のときの女子の制服、
きつすぎないすか……!?」
松月「わかる!?そうなの!」
岬「俺が女子の制服着て学校行くのと
そう大差ないっすよね。つら」
松月「毎日じゃないけど、
そういう日もあった」
夏海「制服は自分の意志じゃないってのも
でかいよな。
それを着る一択なのがしんどい」
松月「私の学生時代はスラックスなかったし、
スラックス履くって選択肢も知らなかったから、
『制服着たくないなんておかしいな。
学校に行きたくないんだろうな』としか
自分でも思ってなかったんだよね。
今思うと、
制服のスカートが嫌だったのかも」
白い居間に日本茶の緑が映えています。
一口飲んで、
本当に話したいことを話すことにしました。
「でもこれ、
嫌だったなーって言いたくて
noteに書いたんじゃないの。
そういう感覚があるって書きたかっただけ。
もしも今、
制服に違和感を感じて、
学校行くの嫌だなって思ってる人がいたら、
『その感覚は変じゃないよ』って伝えたい。
気のせいだって我慢せずに、
まずは在る感覚として感じてほしい。
その上で、
今の自分が少しでも楽に思える選択を
してほしいなって思って、
ノンバイナリーのことをnoteに書いたの」
いつも読んでくださっている方、
今日初めて読んでくださっている方、
本当にありがとうございます。
岬「少なくとも俺は参考になりましたよ。
学校って毎日のことっすから、
嫌なことあると積もりますよね」
松月「それで不登校になったから
『制服ってやっぱ大事だよな』と思って」
岬「あ、言ってよかったんすか」
松月「うん。
失うものはないから
体験したことは伝えていこうと思って」
もちろん、
本当に自分が望む姿で生きたいと決めたら、
何らかの手術を必要とする人もいると思います。
それは本人にしかわからないし、
自分の体のことを決められるのは
自分だけです。
今、この記事を読んでくれているあなたが
そうした手術を必要としているなら、
その深い内省と大きな決断に敬意を表し、
私はあなたの人生を応援します。
私からあなたに差し出せるのは、
私自身に関する文章だけです。
何か響き合うものがあるなら、
嬉しいなと思います。
私の体は女で、
私の内面も半分くらいは女、
もう半分は男性的な何かです。
ただし、日によって割合は変わります。
制服のスカートを着たくなくて
不登校を選んだ過去もありました。
その後の進路は、
私服の高校を選びました。
進路にまで関係したのだから
私の中では大きなことなのでしょう。
半分は女性と感じることが多いので、
自分の体を手術などの医療行為によって
変えたいと思ったことはありません。
今、一番近いと感じる表現は、
「女性のアバターを使ってる感じ」です。
でもそれって、
魂レベルでは当然のことなのかもしれません。
最近読んだ本にこんな文章があって、
おおいに励まされました。
秋山佳胤さんの「不食という生き方」
とてもいい本です。
この言葉に出会えてよかった。
ひとまず、
私が私のためにできることを見つけました。
女性のメイクではなく、
その日、したい身だしなみを選ぶことです。
メイクはしてもいいし、しなくてもいい。
女性的なメイクをしたっていいし、
中性的なメイクをしてもいい。
最後の日まで大切なのは、
私が私を研ぎ澄ませることだと思います。
最後まで読んでくださって感謝します。
あなたの今日に
あたたかな幸せが降り注ぎますよう、
祈っています。
それでは、また。