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人間が興味を持つのは自分より幸福な人間ではなく、自分より不幸な人間である

なんかネットがいま燃えに燃え上がっていることを今日知った。


☆☆☆


今日ツイッターを見る機会があって見てみたら、ハーバード大学の学生さんが、後輩がSNSで殺されました

とショッキングなツイートがあったため、全文読んでしまった。

日本人の後輩が一生懸命に勉強がんばってスタンフォード大学に入学した。その自伝を書籍化したら大炎上が起き、後輩はショックで寝込んでしまった。

もう誹謗中傷は止めてください。とツイートなされている。


この炎上の論理性については(どういう経緯で炎上まで辿り着いたのかの全容)については、藤沢数希さんのnoteの無料部分に詳細に書かれている

どっちもどっちだと思うけど、1対多でしょ。なんで大勢の人間で一人の女の子を誹謗中傷するかな

ていうのが率直な意見である。


ただし、これは私の感情論である。感情であるため(ツイートなされている、ハーバード大学の学生さんもそうだが)自分がそうなってほしい、という希求に過ぎない。

炎上は止めようよ!という願いでしかない。


つまり科学を使ってはいないのである。では、社会科学的にはどうなのか。

人間は自分より幸福な人間に不愉快感を持ち、自分より不幸な人間に優越感を持つ生き物である。

情報美味しいとはそれである。ネットで自分より不幸な人間を見つけると、人は幸福感が上昇するのだ。


逆にネット炎上とは大衆を不快にさせる出来事で起きる。ツイッターのように匿名で直接人をぶん殴れる場所で、18歳が現役で東大に合格しました!全然勉強しませんでした。楽勝でしたよ!

これが一番炎上しやすいパターンである。

スタンフォード大学に合格した女の子もこちら側である。


人間の前頭前野のスペックには個人差があるため、ある人が100時間かけて勉強しなければ理解できないところを、頭の良い子は10時間もあれば余裕で理解できてしまう。

だから10時間で理解できてしまう聡明な子の自伝を買って読んでも、私たち凡人ではあまり役には立たない(でも、それを知っている人はほぼいないため、脳科学の知見のある市民は希少であるため、本は売れ続けるのである、子供4人を日本最難関の偏差値77、東大理Ⅲに合格させたゴットマザーの自伝しかりである)。

それはわれわれが読んでもあまり意味がない。なぜなら、そこに科学(再現性)がないためである。聡明な子と同じ勉強法をしても偏差値は上がらないのだ。


ビル・ゲイツも言うように、人間の能力には個人差があり、人間社会は不平等なのである。

だから自分が必死に勉強しているのにまったく勉強しないで東大に合格しました!楽勝でしたよ!東大とかマジで余裕!などとツイッターに書くと、燃え上がるのである。

ゲームとしてはこう↓なる(いつも通りミクロ経済学最高の学問、ゲーム理論を使ってのケーススタディである)


■ネット炎上における燃える条件分岐

  • 全然勉強しないで東大に合格する

  • みんなが楽に殴れるツイッターに東大に合格したことを書き込む

ゲーム理論的にはこの2つの条件のすべてを満たすと炎上してしまう。一つしか満たさないのであれば炎上は起きない。

合格してもそれを人に言わない。ネットに書き込まないと、ネット炎上は起きない。また、そもそもネットやってないと100%炎上は起きない。

Amazonに自書が掲載されても、SNSやってないと炎上に気づかない。幸福感が落ちない。不幸にならない。

さらに不合格でそれをツイッターに書き込んでも、炎上は起きない(当たり前である)。


人間は自分より幸福な人間に苛立ちを感じ、自分より不幸な人間を探し始める。そんな生き物である。これが心理経済学が出した答えなのだ。

たとえば、ツイッターに一生懸命勉強しました!もう少しで、日本大学に合格するところでしたよ!来年もがんばります!

これだと100%炎上は起きない。100%である。


ていうか、むしろみんなに(その日大落ちた子より境遇の良いネットの多数派に)来年はがんばってー!

とエールを送られるほどである。つまりそういうときだけ(たとえばハーバードとか受かった人が留年したり、ニューヨークでスリに遭ったり、金がなくて電気停められたりw、不幸になったときだけ書き込むと人気が出る、人間心理とはそういうものである)。

なんか書いてて思ったんだけど、前回書いたこれすべて的中してる。


書いたことが全部当たってる。インターネットとは何か。インターネットの本質とは何か。ネットで人はどう動くのか?その全容。

SNSでは人の命が軽い。軽視される。自浄作用が働かない。ネット民は自分より優秀な人や恵まれている人を匿名で殴り、快楽を得るため、自分より弱者を常に探し求める。

すべて当たっとるな。いつものこと。社会の科学。


1週間も満たないで5冊も売れたけど、私の書いた通りに人々は動き、書いた通りに社会は構築されている。

これが社会科学の凄みである。1日も早く炎上が収まり皆がもう彼女のことを忘れ、スタンフォード大学での楽しい日々が始まることを切に願っています。

個人的には半年くらいネットを辞めることを推奨します。そのほうが楽しい日々が送れるよ!

P.S.

ちなみに上記の問題はSNSやネット炎上といった個別ミクロの問題を、経済学的に取り上げたものである。

いま、山口県阿武町で新型コロナ給付金4,630万円の誤送金を24歳の男性が着服した問題では、誰一人責任者が出てきていない。

責任を問うものがいない。と言うか責任者がいない。なあなあで終わる。世論が飽きたら報道が収束する。


毎度お馴染みいつもの様式美である。

問題がグダグダにドロ沼化するのは、問題の本質が絶えず改善されないため。以前書いた通り。


これは個別マクロ(国家全体)の問題であり、2週間前に私がnoteで書いた通りに社会は動いているに過ぎない。

水難事故と論理性は全く同じ。全部社会科学の通りに日本社会は動く。というかいまも動いている。

予想通りすぎて少しつまらないというか、飽きてくるけど、いつものことである。


ワンパターン。noteに書いた通り、論理性だけ知っておけば良いだけの話である。

あと20年~30年は自分が書いた通りに、この調子で社会は動く。

なぜなら社会が変容するにはもう少し時間がかかるためである。

(おしまい)


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