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こういう大人になりたい

ある夜、居酒屋のカウンターで焼き鳥と刺身と燗酒を並べ、まどろんでいた。
右隣におじさん、そのまた隣にはカップルが座っていた。
おじさんが隣のカップルに「この酒、もしよかったら呑んで!酒の一滴は血の一滴って言ってよォ、俺ァ酒が残せねぇんだよ!」と言って、徳利を渡していた。
カップルはとても嬉しそうに「本当ですか!ありがとうございます!」と言った。

(・・・俺にくれればいいのに)
オレはいやしくもそう思ってしまった。

(酒の一滴は血の一滴と言うのか)
新たな学びだった。

(こういう大人になりたいな)
名も知らぬおじさんに、オレは小さな憧れを抱いた。

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