曼荼羅 vol.10
曼荼羅の表現方法ー色と形
正方形・半円形・三角形
1.正方形
完全性という点では、円に首位を譲るものの、反面空間の重要要素を全て具備している。そして発展・展開を暗示する四角形でもある。
曼荼羅は空間配置を基本とする立場のため、四角形は、円形と共に不可欠の役割を果たしている。
2.半円
図形的に動きを表現することができるため、「大日経」で説かれる五輪塔の思想では、地・水・火・風・空の五種の存在要素のうちで動きを特徴とする「風」を表している。
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3.三角形
力やエネルギーがある方向へ流れて行くことを示す。
▲上向きの三角形→下から上への上昇エネルギー
▼下向きの逆三角形→聖なる力が現実に展開することの象徴
三角形はどうしても攻撃的なイメージが強いようである。
護摩炉の形の祈願
ところで、伝統的に伝えられている護摩の修法と、用いられる曼荼羅(護摩炉)の形と色彩の関係は次のとおりである。
祈願の内容 曼荼羅の形 用いる色
息災 円形 白色 災いを鎮める…平癒・安産
増益 四方形 黄色 プラスに導く…商売繁盛・長寿延命
敬愛 半円形 赤色 男女の愛情…良縁成就・夫婦円満
調伏 三角形 黒色 他人の運命をマイナスに…戦争
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色の意味
白色
ものごとの安定と静寂を象徴するため、息災の色とされる。
黄色
増益。暖色の代表であり、物事の発展を示す。黄金色と類似した色合いであり、財宝性を象徴する宝生如来の身体の色とされる。
赤色
敬愛。情愛・恩愛を表す。愛染明王の身体の色彩。
黒色(青色)
調伏。相手を打ち負かすためには「青筋を立てて怒る」と祝えるように、憤怒の青色である。不動明王や降三世明王など多くの憤怒尊が青色で表現されている。
五色という色
胎蔵界曼荼羅でも金剛界曼荼羅でも、五色という色は上記の
「白・青・黄・赤・緑」の五原色があげられる。
曼荼羅の境界線、例えば中台八葉院の方形などにこれらの五色の境界線が引かれるのを、五色界道と読んでいる。
五色の順序は、教理的には
胎蔵界…白・赤・黄・青・黒
金剛界…白・青・黄・赤・黒
となっっている。