人は忘れる動物
人は忘れていく
本に直接書く
本に書き込みをするという人は、どのくらい居るであろう。
「汚くなることがいや」
という理由で、書き込みをしない人がいる。
これは、私に言わせると、とても勿体ない。
本に直接書くことによって、もたらされる効果について、紐解いてみよう。
本に直接書くことでその一瞬の思いを書くということになる。
『今という一瞬の思い』
というものは、今のこの瞬間にしか訪れない。
次の瞬間には失われている可能性がある。
であるならば、この瞬間をどれほど大切にしなくてはならないか、自ずとわかってくるはずである。
本に直接書くと、その瞬間の思いを、『本のどの部分について思ったことなのか』ということまでわかる。
その瞬間を、その部分について思った。
という、ノートに書くとしたら、少々面倒な言葉の羅列を書かなくてはいけないことが、本に書くだけで解決するのだ。
著者との交換日記
本に直接書くことは、著者と自分との交換日記のような感覚もある。
著者が書いたものに、直接書くことで、著者との距離感が縮まる。
縮まった関係性となった著者に、言いたいことを言う。
生の言葉に、生の言葉で答えていくという感覚。
生の言葉は、先ほども書いたように、その瞬間の言葉なので、フィルターをかけないで書くことが重要となる。
著者の言葉に対して、フィルターをかけない言葉によって答えていく。
再読したときにも、そんなフィルターをかけていない言葉が書かれた本は、あなたの思考のプロセスが書き記されているものになる。
そんなプロセスを、もう一度踏んでみる。
そのプロセスをあえて、避けてみる。
プロセスを一旦、忘れてみる。
といった、『前回行なった思考』からさらに進めることができるのである。
先人は、書くことができるようになって、初めて文明の発達が進んだと言われている。
それはなぜか。
それは書くことによって、今現在考えていたことの続きを考えることができるようになったからである。
逆を言えば、書くという行為をしなかったら、「昨日、どこまで考えたかな?」とわからなくなってしまうのが、人間なのだ。
そう、人間は忘れる動物である。
だからこそ、書くのだ。
その瞬間に思ったことは、その瞬間に書くのだ。
そう、今読んでいる本に。
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