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時間が有限であることの警告

【読書ノート】

『余命3000文字』

村崎羯諦(むらさきぎゃてい)著

小学館文庫


5分で読めて、あっと驚き、わっと泣ける。


『小説家になろう』発、年間純文学【文芸】ランキング・第1位獲得作品、待望の書籍化!


「大変申し上げにくいのですが、あなたの余命はあと3000文字きっかりです」ある日、医者から文字数で余命を宣告された男に待ち受ける数奇な運命とは――?


余命3000文字という人生

自分の人生が残り3000文字だったら?と考えると、多いだろうか、少ないだろうか。

当然、何か自分が行動を起こすたび、文字数はどんどん消費されていく。何もしなければ文字数は減らない。

それならば……


何もしないで長く生きる人生と何かをして燃え尽きていく人生

人生には、大きく分けて2種類ある。

人と関わって太く短く生きる人生と、

人と関わらずに細く長く生きる人生。

どちらが正解ということもなく、

その二つがあるということを表現された物語だと感じた。

この物語を『自分事』と捉えるか『他人事』のコメディとして読むかによっては、捉え方が大きく違ってくる。


5分で読める人生の本質に迫る物語

自分の人生にとって、3000文字を消費しないように生きることが幸せなのか、3000文字で、いかに光り輝くことや、人の役に立つことで幸せに感じるのかを、考えさせられる物語である。


人を助けることに自分の人生を使うことが、素晴らしいと思う人も、もったいないと思っている人もいるだろう。

何もせずに3000文字すべてを使わずに人生を全うすることが物足りないと思う人もいる、何事もなく全うする人生が良いと思える人もいるだろう。


まさに人生とはこういう選択に、日々迫られて生きている。

『人生の時間』を『残りの文字数』と表現されているのは、とてもわかりやすかった上に、刻一刻と時間が無くなっていく不安感を肌で感じることができた。人生の時間がなくなっていく不安感というものを、感じさせてくれる本というのはめったに出会えないため、本書は読んでおくべき本の一つだと断言できる。

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尾崎コスモス/小説家新人賞の卵
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