犬にきいてみろを読んで
【読書ノート】
『犬にきいてみろ』
池井戸潤著 amazon publishing
♠️平井勇磨=家業の町工場(平井エンジニアリング)の二代目社長。舞の見合い相手。
♥️花咲舞=東京第一銀行の事務部臨店班。今回は平井勇磨とお見合いをする。
♠️相馬健=東京第一銀行の事務部臨店班。
♠️助川=平井エンジニアリングの工場長。元大日マシナリーの社員。
♠️多田野=平井エンジニアリングの経理課長。元大日マシナリーの社員。
♠️菊池=平井エンジニアリングの製造部社員。元経理担当。30年以上(先代の社長の時から)平井エンジニアリングに勤めている。
📗内部告発
「実は先日、私の元にこんなものが届きまして」
社長室のデスクの抽斗(ひきだし)から勇磨が取り出したのは、一通の封書であった。
中から三つ折りにされた便箋を取り出すと、そこにはプリントアウトされた本文がたった1行。
『助川の不正に気をつけろ』
と書かれていた。
🍀こうした内部告発から始まる今回の事件。
舞と勇磨は、見合いで知り合ったはずなのに、「男女の関係」よりも「仕事」の方が好きだ、という気持ちはお互い持ち合わせているようで、そういう面ではお互いに、相性がいいようにも思える場面であった。
📗大日マシナリーから来た二人
「あの多田野氏と助川さんは、どういう関係だったんですか」
舞が聞いた。
「多田野は大日マシナリーの調達部にいた時があって、その時助川の部下だったそうです。その後経理部に異動になったんですが、今一つ力が認められずに不遇をかこっていたようで。
助川がそれに目を付けて、課長として迎えたものだから、助川にはひとかたならぬ恩義を感じているんですよ」
「かくして今や、助川工場長の右腕ってわけだ」
🍀何の不正だかわからないまま、不正を暴くきっかけは探す3人。
経理にもう一人、女性社員がいるということを思い出し、問い詰めるも知らないと言われる。
もう終戦ムードも色濃くなり出したと思われたが、舞はあきらめない。
池井戸作品にはこういう熱い人間が必ずいる。
📗『犬にきいてみろ』
「そうだ勇磨さん。多田野さんが新たに経理担当になったということは、それ以前に経理をされていた方、つまり前任者がいらしたということですよね。その方はどうなったんですか」
ふいに勇磨は表情を曇らせた。
「菊池という男が以前経理をやっていたんですが多田野が来たんで、今は製造課の ラインに入ってもらってまして……」
🍀辞めたいと言っている菊池は、父の代から30年も勤め上げてきた男なんで、引き留めたいと勇磨は考えていた。
その菊池に会う。
すると「犬にきいてみろ」と言われる。
📗感想&考察
「犬にきいてみろ」から、舞と相馬は不正を暴くことができるのか!?
相変わらず仕事に大変熱い話だが、花咲舞シリーズはこんな短編集が集まったものが一冊となって発売されており、その内の一作と考えられるが、この作品は初めて読んだ。
間違っている人間には間違っている。
正しいことを正しく行う舞の姿勢は、サラリーマンをやっていると、どうしても難しくなってしまうことだ。
長いものには巻かれたり、強いものには屈してしまう。
そんな自分の保身に溺れず、正しいと思う事にまっすぐに進む花咲舞には、憧れる人は多いのではないだろうか。
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