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噺家が聞いたハナシ-さくらんぼの実染めの着物-
山形での仕事の合間に、着物の展示会へ寄った。たまたま入ったのだが、ふとした出会いがあった。
それは、さくらんぼの実染めの着物である。
着物において草木染めというものは、草木であればなんでも染めることができるらしい。だが、色落ちが激しいものが多く、なかなか商品になりづらいのだ。紅花や藍染は有名だが、さくらんぼの実染めは聞いたことがない。その珍しさもさることながら、反物自体も魅力的で、すぐに購入し
噺家による文楽のススメその三『女殺油地獄』
【文楽のススメ】そのニでは、『心中天網島』について書いたが、今回はこちら。
『女殺油地獄』
こちら、パッと見よめないだろうが、タイトルに「殺」と入ってるし、さらに「地獄」も入ってるし、なんだこのタイトル!っては具合である。
たまに映画やドラマで、タイトルと内容が異なる場合があるが、この作品はタイトル通りの内容なのだ。読んで字のごとく、女を殺して油まみれで地獄なのだ。
まさに、
女殺油地獄
(
噺家による【文楽のススメ】そのニ『心中天網島』
【文楽のススメ】その一では、文楽がいかに敷居が高いかを説明してきた。ここから、実際に作品に触れていきたいと思う。
先月観に行ったのが、この作品。
『心中天網島』
うん、読めないと思う。
『しんじゅうてんのあみじま』と呼ぶ。
こちらの作品は近松門左衛門の作品であるのだが、近松門左衛門という名前くらいは聞いたことはあるはずだ。日本のシェイクスピアと言われるほど、近松は様々な戯曲を作ってきた。先月、
噺家による【文楽のススメ】その一
落語家として、演劇であったり映画であったり、様々なところに足を運ぶようにしている。
その中で、古典芸能である文楽と出会い、好きになり、観に行くようになっていった。
しかし、多くのひとからすれば文楽ってなんすか?というレベルだと思う。
だが、安心してほしい。
落語家もあんまりよく分かっていない。
落語の噺には、歌舞伎であったり文楽のことであったり、古典芸能がつまっており、言わば親戚みたいなもん
最恐のグルメ王と一緒に
「一緒に美術館へ行きませんか?」
とある後輩の前座さんに誘われた。
みんなそうだと思うのだが、やはり落語家の私も後輩に誘われるのは嬉しい。
その後輩さんは、最恐のグルメ王だ。
彼は食に貪欲で、セミを食べる、豚の脳みそを食べる。機会があれば、人間も食べたいと言った。詳しくはnoteの「寄席芸人グルメ」に彼のことを書いてあるので読んでいただきたい。
「兄さん、ここの美術館へ行きましょう」
くしゃ
写真家と寄席芸人と思い出と
−見るものすべてが写真になる
これは、ニューヨークを中心に活動していた写真家ソール・ライターの言葉である。
まずは僕の好きな写真家について書く。
ソール・ライターが脚光を浴びたのは83歳という遅さなのだが、彼の写真の特徴は色彩であり構図だ。
始めチラシをみて、かっちょいいと思いソール・ライター展へ行き、やっぱりかっちょいいとなったのだ。
雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より
少女漫画にこんにちは
どうやら僕はカワイイが好きみたいだ。
そう自覚したのは約半年前、弥生美術館でやっている水森亜土展で作品を見たときであった。
落語家という職業柄、おじいちゃんに会うことが一番多く、特に修行中はカワイイに触れる機会は皆無。「師匠粋ですね」ということはあっても「師匠カワイイですね」という機会はまず無かった。
水森亜土展以降は、そういう展示に対して前よりも敏感になった。特に水森亜土展をやっていた弥生