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ビタミンの種類と働き④

ビタミンについての4回目は、ビタミンB群のうち、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸についてお伝えします。

【ビタミンB12】

 ビタミンB12は血液に関係のあるビタミンです。赤血球の形成をサポートしており、葉酸とともに骨髄で正常な赤血球をつくっています。そのほかに、ビタミンB6と同じで、たんぱく質合成に関わっています。核酸の合成やアミノ酸の代謝、脳の発達を助け、体内組織の機能や発達を正常に維持するなど、非常に重要な栄養素です。

 ビタミンB12は、腸内細菌によっても合成されることから、不足することはないと考えられています。しかし、吸収される際に、胃から分泌される内因子という物質と結合するため、胃を切除した方や慢性胃炎がある方は内因子の分泌量が少なくなり、ビタミンB12の吸収率が低下して不足状態になることもあります。ビタミンB12や葉酸が不足すると、上手に赤血球をつくることができず、巨赤芽球性貧血や末梢神経障害、疲労、食欲不振などの症状が起こる可能性があります。巨赤芽球性貧血とは、赤血球のもとになる赤芽球が巨大化して正常な赤血球が減ることで起こる貧血です。過剰摂取についても、胃から分泌される内因子によって吸収量が調整されるため、心配はありません。

 ビタミンB12を多く含む食品としては、しじみなどの貝類やレバー類などがあげられます。光や空気に弱いため、保存するときには密閉できる容器に入れてください。

水に溶け出す水溶性ビタミンなので、調理の際は味噌汁やスープなどにするのがおすすめです。特に、しじみやあさりの味噌汁は、貝からうまみが出るので出汁いらずの手軽さです。

◎ビタミンB12を多く含む食品

しじみ、あさり、牡蠣、アジ、いわし、レバー、のり など

【ナイアシン】

 ナイアシンは数百種類以上もの酵素の補酵素として、糖質、脂質、たんぱく質のエネルギー代謝に関わり、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、DNAの合成や修復、皮膚や粘膜の健康維持、アルコールの代謝など幅広く働いています。

 不足すると皮膚炎や下痢、精神神経症状を伴う「ペラグラ」という病気の可能性が高くなりますが、通常の食事をしていれば特に心配はありません。ただし、十分な食事を摂らず大量にアルコールを摂取していると、ナイアシンの必要量が増加してしまい、欠乏状態になりやすくなります。お酒を多く飲む方は、意識して摂りましょう。過剰症も通常の食事をしていれば心配ありませんが、「ニコチン酸」をサプリメントなどで多量に摂った場合は過剰摂取となり、皮膚が赤くなったり、痒みがでる場合があります。

 ナイアシンを多く含む食品として、たらこやカツオ、マグロなどの魚介類やレバー、鶏肉などがあげられます。熱には強く壊れにくいビタミンですが、水溶性で熱湯には溶け出しやすいため、スープなど煮汁ごと食べられる料理がおすすめです。

◎ナイアシンを多く含む食品

たらこ、カツオ、マグロ、鶏胸肉、ささみ、レバー、落花生、まいたけ など

【葉酸】

 葉酸はビタミンB12とともに赤血球の形成をサポートしています。そのほかに、DNAやRNAなどの遺伝情報を担っている核酸やたんぱく質の生合成、細胞の生産や再生など発育に大切な栄養素です。細胞増殖や臓器形成に不可欠なので、特に胎児の正常な発育・発達のためにも妊娠前から葉酸を十分に摂取しておくと神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。

 通常の食事をしていれば不足する心配はありませんが、不足した状態が続くと、上手に赤血球をつくることができないため、巨赤芽球性貧血や神経障害、口内炎や皮膚異常などを起こす場合があります。最近では、葉酸は動脈硬化の予防に効果があるということがわかってきました。妊娠の可能性のある女性に注目されているビタミンですが、動脈硬化の増える高齢者にとっても必要な栄養素といえます。過剰摂取についても通常の食事をしていれば心配はありません。しかし、サプリメントなどで過剰に摂取すると、発熱やじんましんなどを起こしたり、神経障害の発見が遅れたりする可能性があります。

 葉酸を多く含む食品は、緑黄色野菜、海藻、レバーなど。光や熱に弱いので、生食できる野菜サラダや果物を積極的に摂ることをおすすめします。

◎葉酸を多く含む食品

鶏レバー、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリー、菜の花、枝豆、マンゴー、いちご、のり など

前回に引き続き、ビタミンBについてお伝えしました。三大栄養素に比べれば、脇役的存在のビタミンですが、ビタミンがないとほかの栄養素が上手に機能できない重要な役割を担っていることをご理解いただけたでしょうか?

【参考文献】
・e-ヘルスネット「ビタミン」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-027.html

ライター:山下 真澄
管理栄養士|日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士|
食育インストラクター|一級惣菜管理士|調理師


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