短編小説「空を飛ぶ小説A」
こんにちは!限界大学生の湊 笑歌です!
今回は爆睡してしまったため過去に書いた短編小説を投下しようと思います、ではどうぞ!
空を飛ぶ少年A
人とは違う何かが欲しい。ビルの間から吹き荒れる風になびかれ、都会に染まった俺はそんなことを考えていた。
透明人間になりたいわけではなく、サイコキネシスが使いたいわけでもない。ただ、少し勉強ができたらよかった、少し足が速ければよかった、非凡でありたかった。そんな妄想が一番、凡人の思考であると理解していても。
一歩また一歩、階段を上がっていく度不安感や恐怖感で包まれそうになる中、謎の期待感と高揚感が隠せず、口元が緩んでしまっていた。
「カツン、カツン」
日の目を浴びてみたかった、一度でいいから注目を集めてみたかったんだ。
「カツン、カツン」
こんな手段をとらなくても注目を集められるような人間になりたかったな。
「ガチャ」
東京全体の風が自分に集中しているようだった。風は、少し考えなおせと呼びかけるように俺の髪をさらっていた。
待ちゆく人たちは下ばかり見ていた。うさん臭いインフルエンサーの言葉に心を打たれ、とってつけたような恋愛ソングに耳を傾けながら、汚い街を大人たちは行き来していた。この後あなたたちの目には嫌でも俺が映るともしらずに。
屋上には俺だけのステージが用意されていて、そこに誰も立ち寄ることなどできない。今から一つだけ、非凡人になれる。超能力にさえ引けを取らないような物を手にするんだ。
次への期待を込め、俺は地面を蹴って空を飛んだ。
その瞬間だけは、俺にも羽が生えていたんだ