一度もアイドルを推したことの無い人間が『絶対アイドル辞めないで』を聞いた
※本記事におけるアイドルの定義は、ごく一般的に想起される、「芸能人の中でも特に、アイドルであることを自称し行動している個人やグループ」を想定しています。
①前置き ※飛ばしても本記事は読めます
成人してから何年も経っている程度の年月を生きてきましたが、今までの人生において「アイドル」と呼ばれる職業の方を明確に「推し」た経験がありません。
勿論、AKBグループやジャニーズ事務所の方々といった国民的アイドルの存在は知っていますし、アイドルの歌の中に気に入った曲も存在します。
嵐の迷宮ラブソングとか、欅坂46の黒い羊とか。
神使轟く、激情の如く。の曲なんか全体的に好きでしょっちゅう聞いていますし。
最近だとファントムシータが好みの曲多くてお気に入りです。闇感が良い。
あ、i☆Risはプリティーシリーズのファンなので当然のように好きですが。
それも楽曲が良いなって思ったから聞いている感じなんですよね。
プリティーシリーズは良いぞ。
現体制での活動終了するの寂しいね……。>神激
いやマジで言葉にしたら自覚していたよりも本格的に寂しくなってきた。
ファントムシータの曲は戸川純さんの好き好き大好き聞いている時みたいな気分になって来る。
ただこれ、アイドルをアイドルとして認識して、「アイドル」として「推して」いるかと言われるとちょっと感覚的に違うんですよね。
友人に、この世に存在する”アイドル”という存在の全てを愛しているんじゃないかと思うほどアイドルを推している人がいます。
彼が一等好きなアイドルはハロプロの方々ですが、AKBグループの系列もジャニーズ系も。三次元アイドル程明るいわけではないようですが二次元アイドル(Mマス等)も兎に角何でも把握していて、プロデューサーやらレーベルやら毎の特色なんかも完全に頭に叩き込んでいるようながちがちのオタクです。
オーディション番組も逐一チェックしているらしいです。
オタクというか、なんかもうマニア。
↑ オーディション番組についての激熱プレゼン(2時間くらい聞いてた)を受けて見に行き、ミリしらだったのに思わず「かっこよ……」と呟いてしまった動画。歌が上手すぎてびっくりした。
そんな彼とまではいかずとも、ジャニーズアイドルが好きで、好きなグループや推しメンがいる友人もいます。
彼女は推しグループのライブがあれば当日の服を考え、ネイルを考え、メイクを考え、ヘアアレンジを考え、うちわを準備し、ジャニーズショップでレシートの長さ1m超えてんじゃないかというレベルの買い物をしています。
レシートの長さを見て手叩いて笑った経験は後にも先にもこれだけでしょう。
そんな友人たちの、アイドルという職業の方を推している様子を見ると、やはり私は「アイドル」を推したことは無いかもなあ、と思うわけです。
正直、メンバーの名前を全員分自信持って言えるアイドルはまだいませんし、特定の推しメンが出来たこともありません。
要は私は、アイドルを「アーティスト」として見ているんでしょう。
そんな私ですが、アイドル以外の人を推したことはあります。
三次元なら声優さんとか、コンカフェの店員さんとか。
二次元キャラクターでも色々。
だから「推す」という感覚が全くないわけではありません。
でも、それでもやはりアイドルのファンとそれ以外とでは、具体的に言えと言われれば難しいですが、何か推し方というのに違いがあるような気がするんです。
これは友人たちやSNSを見ている時に覚えた感覚です。
私は、推しのためにうちわを作ったことは無いし、ヘアメやメイクをメンカラに合わせたことも無い。コーレスは分かるけれど、アイドル文化特有の口上にはとんと疎い。
推しの恋愛情報や異性関係でもやもやすることについても、アイドルオタクだとあるあるらしいと聞いたけれど、私には一切経験が無い。
寧ろ「私はただの一般ファンだから、推しの結婚式に出られないのが悔しい」という方面での面倒な感情は抱いたことがある。
好きな人の結婚式があったらご祝儀包んで全力でお祝いしたいタイプのオタクです。不可能だけど。
②ここから本題
そんな、アイドルに明るくない私ですら、心から感銘を受けたアイドルソングがあります。
=LOVEの、『絶対アイドル辞めないで』という曲です。
端的な初聴の感想を述べますと、こんなクッソ重いオタクのとんでもなくエゴに偏った感情を、よくもまあパッと見キラキラアイドルソングに落とし込めたなと膝を打ちました。
前述した程度のアイドルの解像度、なんならアイドルという存在について受動喫煙しかしたことが無い私でも「解像度たっか!!!」とびっくりしました。
流石は指原莉乃先生。人気アイドルだったからこその経験が生かされている。
なんか私もアイドル推したことがあったかもと思わされましたもんね。
これを直球で言えるの凄いし、現役アイドルにそれを歌わせるのも凄いよ。
↑ ※今回一番言いたいことがこれです。
アイドルファンが絶対に感情移入してしまう歌詞でしょう、これは。
私でも分かる。
アイドルじゃなくても、どこかに、二次元でも三次元でも推しているコンテンツが出来たことがある人ならば、シンパシーを感じてしまう歌詞だと思います。
私だって、好きなアーティストにはずっと活動していて欲しい。
永遠でいて欲しい。
いつか終わりが来るということを分かっていても、それは「今」じゃないって思いたい。
分かる…………。
アイドルじゃない話をすると。
好きなバンドにはずっと今のメンバーで演奏していて欲しい。
好きな小説家にはずっと小説を書いていて欲しい。
好きな漫画は最高の最終回を迎えて欲しいと思いつつも実際に終わると寂しい。
応援しながらも、どうしてもそういう感情は心のどこかに大なり小なり、ある。
わ、分かる…………。
アイドルを推したことが無い人間ですらここまで「分かる」となった曲なので、マジでアイドル好きな人にはぶっ刺さり過ぎて倒れちゃったんじゃないかな。大丈夫ですか? 特に=LOVEの現役ファンの方々。
ファンって存在はいつもで我が儘なんですよね。
自分に都合の良い夢を見たい。
自分に都合が悪いことが起きたら、全てを憶測して、自分は悪くないと思って相手を糾弾したくなる。
渦中にいる際に、特に物事が起きたばかりの頃(推しの活休とかメンバー変更とか、漫画の打ち切りとか諸々何にでも言えることですが)に自分のエゴを自覚することも出来ない。
悲しいかな、何やかんやそんなもんだよなとは思います。
諸行無常とはよく言ったものです。
永遠なんてないわけで。
それでも、自分が何かを好きになって、それによって充実した日々を送った経験がある。
それだけは忘れたくないですよね。
終わりが来る日が来たとしても、立つ鳥跡を濁さずというか。
もし推しに、推しとまでは言わなくても好きなものに終わりが来ても、ありがとう、あなたのおかげで私は充実していました、って言いたいもんです。
それが難しい時があることも、やはり分かります。
私もオタクだからね。
好きなアーティストの活動停止、なら希望があるからまだしも、死とかはやっぱり堪えるものがある。
今今纏めることが難しい話題ですが、色々と生々しいことを考えさせられる音楽で、個人的にかなり好きでした。
改めて、自分の何かの「ファン」としての我が儘・エゴ、応援したい気持ち。そして、どうしたって好きで、好きでいること自体がとても楽しいものなんだっていう気持ち。
それらを考えるきっかけになる曲でした、という話でした。
次回:アイドルを明確に推したことの無い人間、生まれて初めて「武道館でアイドルのコンサートを見るという人生の実績を解除する」に続く(かもしれない)。
追記:続きました。