読書感想文「列」
個人的に三冊目の中村文則作品で、過去二作はあんまりハマらなかったんだけど、今回のはだいぶ面白かったです。
気がつくと長くて動かない列に並んでいる主人公。前後に並ぶ人とトラブルになったり、交流をしたりするが、空に鳥が飛ぶと少し前の記憶を失ってしまう。果たして列の先にはないがあるのか、彼らはなんのために並んでいるのか。
カフカ系(?)不条理もの純文学でラストも全然スッキリしないけど、ミステリ要素もあってだいぶ読みやすかったです。よくわからない行列に並んじゃうのって題材としては結構あるあるかもしれないけど、ここまで突き詰めると芸術の域になるんですね。ラスト近辺でそれぞれの並ぶ理由が明らかになるシーンがあるんだけど、自分に置き換えるとホラーだなって思いました。
大学時代はどちらかというと純文学を書いてました。そのとき書きたかったけど全然力不足で書けなかった、理想形みたいな小説でした。こんなの書きたかったなぁ。
印象に残ったところ
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