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読書感想文「列」
個人的に三冊目の中村文則作品で、過去二作はあんまりハマらなかったんだけど、今回のはだいぶ面白かったです。
気がつくと長くて動かない列に並んでいる主人公。前後に並ぶ人とトラブルになったり、交流をしたりするが、空に鳥が飛ぶと少し前の記憶を失ってしまう。果たして列の先にはないがあるのか、彼らはなんのために並んでいるのか。
カフカ系(?)不条理もの純文学でラストも全然スッキリしないけど、ミステリ要素もあってだいぶ読みやすかったです。よくわからない行列に並んじゃうのって題材としては結構あるあるかもしれないけど、ここまで突き詰めると芸術の域になるんですね。ラスト近辺でそれぞれの並ぶ理由が明らかになるシーンがあるんだけど、自分に置き換えるとホラーだなって思いました。
大学時代はどちらかというと純文学を書いてました。そのとき書きたかったけど全然力不足で書けなかった、理想形みたいな小説でした。こんなの書きたかったなぁ。
印象に残ったところ
こういう目をする人には惹かれるけど、付き合うと変な感じに続いてしまうっていうか、ろくなことないから。部屋に行ったら小説たくさんあって、ああエロいなって思ったよ。本たくさん読んでる男って、エロいから。
それに、若い人は殺せない。人生を侮辱するなら別の方法だ。大丈夫、と私は自分の中で動く何かに伝えているようだった。ちゃんと破滅する。ちゃんと駄目になる。あと少し待つくらいいいじゃないか。
幸福? 目の前の猿が問うようだった。”何を言っているのだろうか。私は幸福ではない”彼が私をずっと見ていた。”私は吹雪のなか目を食べているだけだ。私はただこのようにあるだけだ。君たちの尺度を私たちに当てはめるな” ”別に幸福でなくてもいいだろうが”