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読書感想文「両手にトカレフ」
タイトルとカバーとあらすじを見て、ヤンキー少女の痛快ストーリーかと思ってたんですけど、全然違いました。そもそも日本が舞台じゃなかった。
イギリスの底辺層が暮らす団地の中学生ミアはドラッグとアルコール依存症の母と、不安定でパニックを起こしがちの弟チャーリーと三人家族。ある日、居場所を求めて入った図書館で一冊の本と出会う。大正時代の日本のアナキスト金子文子の自伝だった。自分と同じような、過酷な境遇のフミコに共感し、その本を読むことだけが楽しみになる。と同時に文章を書くということに魅力を感じ、同級生のウィルから頼まれたこともあり、ラップのリリックを書き始める。
子供の貧困とネグレクトとヤングケアラーという激重テーマなのに何故かさらっと読めたのは外国が舞台だからなのかな?
歳をとるとこういうのを読んでもどちらかといえば大人側に共感してしまうので、ミアの近所に住んでいて、彼女の友達のイーヴィの母親、ゾーイに激しく共感しました。助けたいけど、自分の娘のことも考えて動くに動けない。良かれと持って動いているけど、そのせいで余計に彼女を追い込んでるんじゃないかと不安になる。
また別の人物のセリフだけど
「子どもの頃、私を助けてくれた大人たちがいた。だから大人になった私にも、あなたを助けさせてくれないかな」
というのが印象的でした。こんなこと言える大人になりたい。