#4『かき氷つみき』のかき氷、雪のようなたっぷりのかき氷(食べるふたり第8回)
アヤモさん
今年も暖かい春の季節がやってきて、陽気な暖かさの中外に出ることが楽しい時期になりました。
以前、紹介してもらった立ち食いそばも魅力的でしたが、『南天』のそばはいつでも気軽に自分なりに味を調整できることでしょうか。肉そばの肉ダブルで麺半分、揚げ玉を盛り盛りにのせることができる贅沢さ、そしてピクニックのように気分によって場所を変えて食事ができるのはとても魅力的ですね。
いつもの肉でも汗をかいたり暖を取ったりと、季節ごとに感じる楽しさがあるというのはそばという暖かいものだからこそ見えてくる体験なのだと感じさせられました。
季節は暖かくなり、これから日差しの強い夏が訪れようとしています。夏といえば思い浮かべるのはなんでしょうか?キンキンの冷たいもので涼を取る人もいれば、香辛料たっぷりで汗をたっぷりかき身体の代謝をあげて夏を乗り切ろうとする人もいるかと思います。私は、冷たくて甘いものが好きでアイスやかき氷をクーラーの効いている、身体にもアイスやかき氷にも優しい安全な場所で食べる冷たいものが好きです。
今回紹介したいのは『京都かき氷つみき』のかき氷です。『つみき』は市内の下京区、四条烏丸通りから西に徒歩5分程度歩いて新町通りセブンイレブンを北上してすぐのところにあります。この辺りはマンションやオフィス、商業施設が働く人や観光客が訪れいつも人の動きが多いエリアです。そして、東西の大きな通りの四条通から北上するとすぐ木造の住宅や低層の建物が林立するエリアに密接しています。このオフィス街と住宅街が隣接するコンパクトさが京都の魅力でもあると感じていて、京都というまちのコンパクトさを感じられるのではないかと思います。
お店の前に来ると、通りに面した大きな窓からかき氷を作っている風景を眺めることができます。店員さんが機械をつかってぐるぐるとお皿を回しながら大きな氷を削って、積み上げていく風景はいつまでも眺めていたいと思ってしまいます。すでにワクワクしながら扉を入ると左手に外から見えていた厨房、目の前にひとり用の座席とテーブル席が配置されています。木や白、ブルーを基調としていて、シンプルだけどかわいさがあり落ち着きのある内装です。
このお店のかき氷の特徴は、旬のフルーツや他にクッキーなどのトッピングクリーム、シロップがたっぷりとふんだんに使用されていることです。作る風景を見ていてわかるのはかき氷を積み重ねている途中でシロップをたっぷりとかけていること。そうすることで、ボリュームの大きなかき氷で表面のシロップがなくなっても中に重ねられたシロップがあることで継続して美味しい!を楽しむことができるのです。
次に特徴的なのは目の前に置かれた時のボリュームです。正直なところ初めてみた時、これは食べ切れるのだろうか、、?と思ってしまいました。
私は小さなお祭りの屋台で出されているようなカチカチのワンカップのかき氷しか食べたことがなかったからです。『つみき』のかき氷はたっぷりのクリームとシロップ、旬のフルーツがトッピングされたものはいちごであれば大きな一粒、マンゴーやメロンなどの果肉があるものはふんだんに果肉が載せられているものまであります。いままで食べたかき氷は先ほどの屋台で出てくるようなジャリジャリのかき氷にシロップがかけられたシンプルなものでした。
このお店のかき氷は固くてジャリジャリとしたものではなく、スプーンで掬うと柔らかい積もりたての雪を手に取った時の感覚を思い出します。ふわっとしていて、少しだけ固さがある。口の中に入れてひとくち咀嚼すると滑らかに溶けていくのです。クリームは氷を優しく包む掛け布団のようです。氷とクリームを一緒に掬って口の中に入れると、ふわふわのクリームの食感とわずかに固さの残るシャリシャリとした氷の食感が組み合さり、水っぽさがなくシャーベットのような舌触りのまま胃の中に入っていきます。氷だけで、クリームだけで、組み合わせて食べても、と二度三度美味しい楽しみがあるんですよね。これでもかと色々なものがたっぷりと載せられていて店主の力強さが伝わってきます。
最近、食べて美味しかったのが『白うさぎ』です。かき氷の上に杏仁クリームといちごのシロップがふんだんにかけられていて、一番上にはかわいい白いウサギのデコレーションが果物とクリームで作られています。甘酸っぱいいちごのシロップと甘々なクリームの組み合わせは例えば、あんこのおしるこに少し塩を入れて甘みが増し味に深みが出るように、酸っぱさと甘さが相乗効果を生んでスプーンで掬う手が止まらなくなります。クリームだけで食べると甘すぎる味はいちごシロップとの組み合わせでしつこさのない味なのです。
このお店は知ったのはオンラインで知り合った、K氏に初めて紹介されてつれていってもらったことがきっかけです。彼は、以前週末に1日に3杯もかき氷をたべるほどかき氷を食べることにハマっていたようです。
かき氷を食べにいく前に歩いていた時話ししていたことが印象的で覚えています。「ラーメンや揚げ物は調理して時間が経てば味は落ちてしまいますよね。出されてさっと食べないと料理が美味しいタイミングを逃してしまう。かき氷も同じなんですよ、出されてすぐ手をつけなかったり喋っていると溶けてしまう。お店が美味しいと感じている、氷の食感を食べ損ねてしまうんです。」
私はこの言葉が好きで、実際にお店に訪れた時もかき氷を食べるときに黙々と食べ続けました。それは、トンカツやラーメンのように適切な温度の状態で提供された食事が時間の経過によっておいしさを失うように、かき氷が一番美味しい時に食べるためなのです。『つみき』にて2人でかき氷が出てくるのをワクワクしながら待ち、提供されたら黙々とガッついた楽しんだことは忘れられません。
実は、このお店を初めて訪れたのはまだ寒い時期で寒いと言いながら暖かい店内に入り、暖かいお茶を飲んだ後にかき氷を楽しみました。オーダーの際にいつでも暖かいお茶を出してくれて、いまからかき氷を食べるぞと胃腸の準備運動をするのです。
寒い時期でも店内には同じようにかき氷を楽しんでいる人が多くいました。寒い時期でも暖かい場所で胃腸を冷やす贅沢を楽しむ、暖かくて暑い日には冷ややかな空間で胃腸を冷やして暑さをしのぐ。どの季節でも美味しくいただくことができるんです。
ぜひ、これからの暑い時期や空気が冷たい冬の時期に京都を訪れた際は通ってみてください。
それでは、また。
シュニチ