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育成就労と永住許可制度の適正化ー日弁連会長声明ー


 育成就労制度及び永住許可制度の適正化に関する日本弁護士連合会の会長声明(2024年3月7日)が出されています。
 この会長声明はともても勉強になりました。
 復習を兼ねて私なりに整理したいと思います。

1.転籍は恩恵ではない

 育成就労制度では日本能力が転籍条件(N4相当)となるのですが、そもそも『労働者の職場移転の自由は、憲法上の権利であって、特別な能力を身に付けた者に与えられる恩恵ではない。』というのは至極当然だと思います。

2.監理支援機関が転籍支援できるのか

 転籍支援について、まずは監理支援機関(技能実習制度における監理団体に相当するもの)が中心となるということですが、監理支援機関は、技能実習生の受入れ企業が組合員となっている事業協同組合が多いので『労働者の要望に真摯に対応して転籍先を斡旋することは構造的に考えがたい。』というのも確かにそうだと思います。

3.監理支援機関の独立性・中立性は確保できるのか

 監理支援機関の多くは事業協同組合です。そして、この組合員が育成就労外国人の受入れ企業であり、組合の理事の三分の二が組合員ですので、この構造からすれば、仲間同士で監理し監理される関係となります。このような関係では、監理・監督は実効的なものにはならないように思います。
『事業協同組合組合員である受入れ機関への監督を行うことはできない』ようにする。つまり、受け入れ企業の役職員が組合の役職員を兼務できないようにするなどの措置が必要だと思います。

4.永住資格取消し制度の導入に関する問題点

 厳しい日本の永住許可制度で永住権を得た者が、病気や失業によって税金、社会保険料を納めることができなくなることもあり得るでしょうに、いきなり、本人や家族の安定した在留基盤を奪うことがあってはならないと思います。
 また、これは、政府の掲げる『人権侵害等の防止・是正等を図り、日本が魅力ある働き先として選ばれる国になる』とも矛盾するというのも確かにそうだと思います。


 日弁連会長声明は育成就労制度及び永住資格取り消し制度の問題点を的確に指摘していますし、問題解決の方向性も十分納得できるものだと思いました。




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