人手不足で特養が閉鎖!ケアを蔑ろにする社会
この春、鹿児島県南大隅町佐多地区の唯一の特別養護老人ホーム「真寿園」(1989年開園・定員60床)が閉鎖されたとのこと。
閉園の主な原因は人手不足だとされています。「真寿園」は1年以上前から新規の受け入れを停止していました。
物価高、介護報酬の低迷、急激な人手不足[1]により介護保険事業経営の厳しさが増してきているように思います。
私たちがいま目にしている劇的な人口減少は、新自由主義に席巻され、生産性の低い依存者、つまり、ケアを必要とする者たちを蔑ろにしてきた結果でしょう。
劇的な人口減少は資本主義・新自由主義の矛盾からきていると岡野八代(政治思想)さんは、次のように指摘しています。
人口減少の基本は出生率の低下が主たる要因です。そして、出生率の低下は、労働者階級が子どもを持つことができる経済力を奪われていることに起因しています。
資本主義は生産を最も大切な価値としていますが、そもそも、子供を生み育てなければ人類は存在できません。
人類の生存は絶対的依存者である子供のケアなしでは存立できないのですが、その依存者をケアすることを徹底的に蔑ろにする新自由主義社会は不正な社会と言えるのではないでしょうか。
岡野八代さんは公正な社会とは福祉を第一に考える社会だと指摘しています。
日本の人口は、2020年に1億2,615万人でしたが、2045年には1,735万人減少して1億880万人になると推計され、2056年には1億人を下回る9,965万人に、そして2070年には8,700万人に減少すると予測されています。
このままの、不正な社会が続けば、特養の廃止だけでは済まなくなります。ケアが蔑ろにされる社会に、未来はないのです。
[1] 人手不足は生産年齢人口の急激な減少が根本要因です。2024年の日本の生産年齢人口推計は7,346.6万人ですが、10年後の2034年では6.811.1万人となり、10年間で535.5万人も生産年齢人口が減少(7.2%の減少)します。10年間でほぼ北海道の生産年齢人口が失われてしまうのです。(出生中位推計)
介護の人手不足については以下のnoteもご参照願います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?