函館市・北斗市・七飯町が「人材の奪い合い防止奨励金制度」導入 ― 介護・保育領域で
函館市・北斗市・七飯町が連携し、介護及び保育領域で、企業間・事業所間での「人材の奪い合い防止」に向けて奨励金を出すといいます。
具体的には・・・
介護施設では
介護職として新たに就労した人には最大で20万円
就労後は年に10万円を3年間あわせて最大50万円を支給する
保育施設では
保育士などとして新たに就労した人には20万円を支給
3年、6年、9年と継続して勤務するごとに10万円ずつ、あわせて最大50万円を支給する
函館市・北斗市・七飯町のこの「報奨金」制度には色々と心配なこと、問題があるように思います。
端的に言えば、この制度は、介護労働者、保育労働者の転職を奨励金を餌に防止しようということになりはしないでしょうか?
介護にしても保育にしても1番(新たに就労した者への20万円支給)はとても評価できます。
問題は2番の継続勤務に対しての年間10万円の報奨金ですが、例えば、介護職員が同一自治体の他の介護施設に転職した場合、又は同一自治体外(函館から北斗とか)の介護施設に転職した場合には、報奨金が貰えなくなるとしたら、これは、実質的に転職が「ペナルティ・罰」ということになってしまいます。もしそうだとしたら・・・
転職の自由をカネで買うってことになりませんか?
この制度で、止むにやまれず転職する者が不利益を受けるということになりませんか?
もし、転職して奨励金が貰えなくなるとしたら、それは転職した罰ということになってしまいませんか?
まさしく、飴と鞭の政策になってしまいますし、転職の自由を阻害する最悪の政策といえます。
事業所内の人間関係が嫌になって辞める職員も多いのですが、そんな職員は罰として貰えるはずの報奨金が貰えなくなる・・・そんな制度なのでしょうか?
制度の運用要項とか熟読しているわけではありませんが・・・
徹頭徹尾、労働者目線ではなく企業目線に立った政策ではないかと危惧しています。
上記の函館市長の上記の談話では「人材の奪い合い」がダメという認識らしいですが、限られた人材を奪い合うのが労働市場でしょう。
また、労働者には事業所・職場を選ぶ権利があるのだと思いますが・・・それが、ダメなのでしょうか?
事業所選択の自由、転職の自由に抵触しないのでしょうか?
全ての介護職員、保育士の給与を底上げすることには大賛成ですが、報奨金を用いて転職制限を行うというのは大きな問題ではないでしょうか?
NHKの報道しか見ないで、批判している、制度を勘違いしていると言われればそれまでですが・・・
一番良いのは、転職しようが、しまいが、一律、介護職員、保育士の給与を上げる政策ではないのでしょうか?