ZENウェルネス運営の「アシステッドリビング宮前」に行政処分
1.行政処分を受けた施設
川崎市は介護付き有料老人ホーム「アシステッドリビング宮前」(定員80名・川崎市宮前区水沢2-8-60)に対して6か月間、新規利用者の受入停止及び介護報酬の請求上限を7割に制限する、指定の一部の効力停止処分を行ったとのことです。
報道発表資料によると、処分の理由は以下のとおりです。
(1) 不正請求
ア 看護・介護職員の員数が基準を満たしていなかった期間について、本来であれば令和3年 11月~令和4年2月(計4か月間)に算定すべき「看護・介護職員の員数が基準に満たない場合の減算」を算定していなかったこと。
イ 人員欠如であった令和3年9月~令和4年2月(計6か月)について、「人員基準欠如に該当していないこと」が算定要件となっている加算を算定していたこと。
ウ 個別機能訓練加算について、「専任の個別機能訓練指導員の配置」及び「利用者ごとの個別機能訓練計画の作成」が算定要件になっているにも関わらず、当該職員の未配置又は当該計画を作成せずに算定していたこと。
エ 看取り介護加算について、「利用者の介護に係る計画を医師等他職種が共同で作成すること」が算定要件になっているにも関わらず、当該計画を作成せずに算定していたこと。
(2)人格尊重義務違反
ア 職員1名が入居者4名に対して、令和2年夏~令和3年冬頃の間、ナースコールを隠す・手の届かない場所に置く等の、介護・世話の放棄・放任を行ったこと。
2.施設運会社
「アシステッドリビング宮前」を運営しているのは、株式会社ZENウェルネス(東京都千代田区五番町 10 代表取締役 加藤 公治)です。
この会社は、埼玉県、千葉県、神奈川県、東京都で介護付き有料老人ホーム11ケ所(総定員894人、平均入居定員81.2人)を運営しています。
ホームページを拝見すると、このアシステッドリビングのコンセプトは「リゾートホテルのような施設」ということらしいです。ホームページには次のような文言が踊っています。
リゾート、それは「非日常的な空間の演出」
皮肉を言えば、ごく一部の施設ですが、確かに非日常的でした。
この会社の使命を以下に掲載しておきます。
会社が、その定めた使命を果たすということは本当に大変で困難なことだと思います。
3.一つの施設は「One of them」ではない
介護事業で多店舗展開する場合、「たった一つの施設の不祥事が会社全体、全施設の評判を落としてしまう」というリスクをしっかりと受止めなければなりません。
ですから、たった一つの施設でも、それはたった一つではなく、会社のサービス全てを背負っているということを深く理解し、「いくら多くの施設があったとしても、一つ一つの施設を大切にしなければいけない」ということだと思います。