特定技能外国人 5年間で80万人受入れ!?
1.外国人労働者の受入れ制限
日本政府は、外国人労働者の受け入れが日本人の雇用に影響を及ぼすことを防ぐため、分野ごとに5年単位の受け入れ上限を設けており、2019年から2023年度までの5年間で合計34万5150人としていました。
現在、日本政府は外国人労働者の中長期的な在留を認める「特定技能」制度について、2024年度から5年間に受け入れる上限を80万人超に設定する方向で検討に入ったといいます。
「受入れ制限」とは、「受入れの目標人数」ということではないようです。
「海外の人たちはみんな日本に来たがっているけれど、受入れには限度がありますよ。」ということなのでしょうね。
2.外国人労働者獲得競争
しかし、日本の生産年齢人口の急激な減少(今後10年間で約530万人の減少)に見合うだけの外国人労働者をはたして確保できるのかどうか、私には微妙に思えます。
なにか、「独り善がり」になっているような気がします。なぜなら、外国人労働者の獲得は他国との競争状態になっているからです。
次に紹介するこの調査レポートは、日本の外国人労働者誘致の競争力を客観視する上で、とても参考になります。
この調査レポートを読むと、日本の外国人労働者獲得が中長期的にはそんなに容易ではないことがわかります。
各国の国別就労先
この調査レポートによると・・・
・ベトナム人の最大の就労先は日本(ベトナム人の海外就労先の37%)ですが、今後、台湾(28%)、韓国(17%)との競争が激化していくことが予想されてるようです。
・インドネシア人の主要な就労先は台湾(30%)、マレーシア(26%)、香港(24%)で、日本はほんの4%です。
・フィリピン人の国別就労先はサウジアラビア(23%)、UAE(14%)、クウェート(8%)、カタール(6%)と50%程度が中東の国々で、日本はほんの3%となっております。
・ネパールもサウジアラビア(30%)、カタール(29%)UAE(19%)、クウェート(6%)で約8割超が中東で、日本はほんの1%にすぎません。
・ミャンマー人の就労先はタイ(57%)、マレーシア(20%)、シンガポール(10%)で日本は8%となっております。
このように、今のところベトナム人の最大就労先は日本となっていますが、今後、韓国、台湾との競争が激しくなるでしょうし、インドネシア、フィリピン、ネパール、ミャンマーなどでは就労先としての日本は存在感が薄いといえるのでしょう。
3.日本は豊かな国?
以下の1人当たりのGDPは日本の豊かさが東アジアにおいて相対化されていることを如実に示しています。
大西広(慶應義塾大学名誉教授)さんは、日本はすでに開発途上国型の国になってきていると指摘しています。
同氏によりますと、日本政府の異次元の超低金利、超円安誘導等々の政策の根幹をなす戦略は「途上国化戦略」だと断じています。「日本は意図的に途上国になろうとしている」というのです。
超円安で価値の下落した日本に外国人を呼び込み(インバウンド)、外国人に高級ホテルに泊まってもらい、高級料亭で美味しいものを食べてもらい、沢山、日本のものを買ってもらう。
けれど、日本人は旅行できない、美味しいものをたべれない、物を買えない!
外国人がリッチに国内を旅行しているなか、日本人はその外国人に仕え、サービスを提供し、お金を使ってもらうよう努力する。
まるで、途上国のようです。
このような日本が、果たして他の国々との労働者獲得競争に勝てるか否かは微妙です。
そのうち、日本人が海外に職を求めて日本を脱出するかもしれません。
4.日本を選んでもらうために
三菱UFJ&コンサルティング調査レポートの結論部分を紹介します。
まずは、「日本を選んでもらうという姿勢」が大切だと思います。
「教育してやる」「受入れてやる」といった高慢な思い・態度はレイシズムにつながりますし、百害あって一利なしです。
また、当たり前で陳腐な話ですが、労働者の待遇・環境の整備が大切なのは当然なのですが、約30年間もの間、日本人の賃金が上がっていないことを考えるならば、暗澹たる気持ちになってしまします。
外国人労働者80万人云々の前にやらなければならないことが多いようです。
名古屋市の次のような取組は有効ではないでしょか?
初期費用の負担により日本に来る外国人労働者の負担が減れぼ良いのですが・・・
他の都市、都道府県もこのような取組をしてはどうでしょうか?