老人ホームの夜逃げ!? 老人ホームが突然閉鎖され入居者は?
1.まるで夜逃げ!
こんなことって、あるのでしょうか?
兵庫県尼崎市の有料老人ホーム(住宅型らしい)が倒産し、入居者にも家族にも何も説明せずに、突然、入居者を他の施設に転居させたといいます。入居者は、着の身着のままで、ほとんどの荷物は老人ホームに残ったままだったといいます。
この施設の入居者(23名)を他の施設(6~7施設)が緊急避難的を受け入れたとのことです。
ビジネスとして有料老人ホームを経営するということは、儲けるためですが、儲けれないとなれば、速やかに撤退するのがビジネス的には正解です。
記事によれば、23人の入居者に対して職員が30名程度だとのことですから、当然、赤字だったのでしょうね。
それにしても、何の説明もなく夜逃げ同然に老人ホームを閉鎖するとは・・・絶句ですね。
2.老人ホームの財務状況を一般に公開せよ!
今年度、2024年度の介護保険法改正により、介護サービス事業者は財務諸表などを都道府県知事に届け出ることが義務づけられました。
提出をしなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合は、期間を定めて報告もしくは内容を是正することが命じられます。従わない場合、最終的には指定の取消もしくは業務停止の処分となります。
今後、都道府県に集められた経営・財務情報をきちんと一般に公開していくべきだと私は思います。
各老人ホームの財務状況が分からなければ、職員も家族も老人ホームの倒産、閉鎖、夜逃げを予見することができないでしょう。
3.介護は地域のコモンだ!
介護サービス事業を企業の単なる私的なビジネス、金儲けの手段としてはならないと思います。
介護サービス事業は基本的には商圏の狭い地域に立脚した事業です。この介護事業が短期的な利潤を追求する企業、お年寄りを食い物にする企業に牛耳られてしまっては、地域のコモン(共有財産)である介護事業・介護ネットワークが衰退してしまう怖れがあります。
介護は地域社会にとってのコモン(共有財産)です。このコモンを守り育てていかなければなりません。
利潤優先ではなく、心をこめて介護できる事業者こそ生き残れるよう、国及び地方自治体が支えなければならないと思うのですが・・・
介護関係者と介護サービス利用者とその家族たちが、もっともっと「介護はコモン」だと声を上げ、訴えて行かなければならないと思います。
(参考:斎藤幸平2023「マルクス解体 プロメテウスの夢とその先」講談社 p358-365)
高齢者の命を預かる大切な仕事だからこそ、人をモノのように扱うことは決してあってはならない。