見出し画像

国立国会図書館(NDL)デジタルコレクションの個人送信追加分を好き勝手に眺めてみた。(002・全集&「現代歌人文庫」篇)

前回に引き続き、国立国会図書館(NDL)の「国立国会図書館デジタルコレクション」(以下「デジコレ」と略記)の図書館向け/個人送信向け対象資料に新規追加された約26万点の資料を覗いていきます。個人の関心範囲でピックアップしているので、その辺はあしからず。あと今回は短歌以外の話題も出ます。

前回のはこちら。


3.「タイトル」を「全集」で検索

5824件がヒット。この検索だと『○○集』『○○作品集』『○○著作集』『○○全作品』等が落ちているので注意。一見多そうに見えるけど、全集ってそもそも『○○全集』というタイトルの本が10巻くらい並んでいるのが普通なわけで、シリーズ単位で見れば実数はもう少し減るはずです。

『現代短歌全集』第1巻~第15巻(筑摩書房・1980-1981)

第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12766306
すでに旧Twitter(俺はイーロンをゆるさない)でも話題になっていますが、これが手元の画面で読めるってかなり画期的です。ヤッホー!(山、山、山)

どこら辺がヤッホーかと言うと、それぞれの単行本が蔵書なしだったり、蔵書ありでも国会図書館内限定公開である場合も、この全集を通して読める、みたいな事例が出てくるからです。試しに後半5冊分から列挙してみましょう。

第11巻https://dl.ndl.go.jp/pid/12506437
扇畑忠雄『北西風』
葛原妙子『橙黄』
山田あき『紺』
中河幹子『夕波』
香川進『氷原』

第12巻https://dl.ndl.go.jp/pid/12506438
中野菊夫『風の日に』
中城ふみ子『乳房喪失』
鈴木英夫『おりえんたりか』
馬場あき子『早笛』
山崎方代『方代』

第13巻https://dl.ndl.go.jp/pid/12506439/1/4
岡部桂一郎『緑の墓』
柴谷武之祐『さびさび唄』
寺山修司『空には本』

第14巻https://dl.ndl.go.jp/pid/12506440
春日井建『未青年』
佐佐木治綱『続 秋を聴く』
平井弘『顔をあげる』
安永蕗子『魚愁』
高安国世『街上』
(*岸上大作『意志表示』は『現代歌人文庫⑲岸上大作歌集』(国文社・1980.08)で読める)

第15巻https://dl.ndl.go.jp/pid/12506441
山中智恵子『紡錘』
大岡博『南麓』
島田修二『花火の星』
前登志夫『子午線の繭』
柴生田稔『入野』
上田三四二『雉』
我妻泰(田井安曇)『我妻泰歌集』
山田あき『飛泉』
近藤芳美『黒豹』
佐佐木幸綱『群黎』
(*岡野弘彦『冬の家族』は『海のまほろば』(中公文庫・1980.01)で読める)

……とまあ、なんかのバグみたいな結果に。明らかに著作権が消滅している中城ふみ子は他の著作もすべて個人送信非対応。近藤芳美も他がほとんど公開済みなのに『黒豹』は非対応。高安国世も『街上』『虚像の鳩』という中期作品が落ちてしまっています。

あと、この流れで言ってしまうと、『現代短歌大系』(三一書房・1972-73)は相変わらず個人送信非対応のままです。というか、三一書房の本が今回の追加分に一切含まれていません。そんなことある……?

歌人の「全集」いくつか

『定本与謝野晶子全集』全20巻(講談社・1979-1981)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12570885
※そういえば晶子の定本って、例の『鉄幹晶子全集』が完結した今はどうなっとるんやろか。

『定本吉井勇全集』全9巻(番町書房・1977-79)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12571219

『吉野秀雄全集』全9巻(筑摩書房・1969-70)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12571484

『子規全集』全22巻+別巻3(講談社・1975-1978)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12534762

『長塚節全集』全7巻+別巻(春陽堂書店・1976-78)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12541480

『赤彦全集』全9巻+別巻(岩波書店・1969-70)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12554482

『若山牧水全集』全13巻+補巻(日本図書センター・1982)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12566920
※既に公開済みの雄鶏社版(1958-59)の復刻。牧水もこの後、増進会出版社(現:Z会)から新版(1992-93)が出ますね。

『白秋全集』全39巻+別巻(岩波書店・1984-88)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12493782

『斎藤茂吉全集』全36巻(岩波書店・1973-1976)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12550163
※旧版(全56巻、岩波書店・1952-57)は公開済み

『今井邦子短歌全集』(短歌新聞社・1970.06)https://dl.ndl.go.jp/pid/12484562

思わず「き、近代短歌の宝石箱や~!」と口走りそうになるラインナップ。まあしかし、全文検索が機能していないうちは、索引と本文ページを画面上で行ったり来たりするのがやや大変という難点がありますね。

歌人以外の気になった「全集」いくつか

ここから先のチョイスは完全に私の趣味です。

『安西冬衛全集』全10巻+別巻(宝文館出版・1977-86)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12470215

『石原吉郎全集』全3巻(花神社・1979-80)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12485759

『エイゼンシュテイン全集』全9巻(キネマ旬報社・1973-93)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12436752

『木下杢太郎全集』全25巻(岩波書店・1981-83)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12493446

『金史良全集』全4巻(河出書房新社・1973-74)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12494189

『最新名曲解説全集』全24巻+補巻3+別巻(音楽之友社・1979-82)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12433581

『佐多稲子全集』全18巻(講談社・1977-79)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12553125

『新輯内田百閒全集』全33巻(福武書店・1986-89)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12566819

『鈴木信太郎全集』全5巻+補巻(大修館書店・1972-73)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12558117

『世界動物文学全集』全30巻(講談社・1978-81)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12445535
※ただし第16巻、第30巻は個人送信なし。

『高橋和巳全集』全20巻(河出書房新社・1977-80)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12558924

『チェーザレ・パヴェーゼ全集』全17巻(未完・既刊7冊)(晶文社・1969-1977)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12579141

『野間宏全集』全22巻+別巻(1969-76)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12545904
※別巻『野間宏研究』がデータ上では全集と紐づいていないが、こちらも個人送信あり。

『ノーベル賞文学全集』全26巻+別巻(主婦の友社・1970-76)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12444949

『萩原朔太郎全集』全15巻(筑摩書房・1975-78)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12474613

ちなみに「世界文学全集」で検索すると389件ヒットします。時代を感じるわあ……

ついでに「著作集」「作品集」なども検索……

『サン=テグジュペリ著作集』全12巻(みすず書房・1983-90)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12578723
※ただし第9巻~第11巻(『戦時の記録』)は個人送信なし。

『藤枝静男著作集』全6巻(講談社・1976-77)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12482714

『サリンジャー作品集』全6巻(東京白川書院・1981)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12632712

『芝木好子作品集』全5巻(読売新聞社・1975-76)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12554377
※これは私、数年前に揃いで買いました。

『寺山修司青春作品集』全8巻(新書館・1983-86)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12563085

『野溝七生子作品集』(立風書房・1983.12)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12546407

『倉橋由美子全作品』全8巻(新潮社・1975-76)
第1巻:https://dl.ndl.go.jp/pid/12498782
※全作品(全ての作品とは言ってない)。『スミヤキストQの冒険』(講談社・1969)がないだけでこの違和感か。あと著者による「作品ノート」の読みごたえがすごい。「バルザックのように、容貌、性格、係累、財産、住んでいる家に家具に召使にまわりの街まで、一式揃えて何人かの人物を作り、これを引きずりまわして行動させていく想像力というものは想像を絶する。気の遠くなるような腕力が必要であろう。こちらは貧弱な腕力、体力しか持ち合わせていないので、誰かのようにボディービルでもやらない限り具象派の人間喜劇は書けそうにない」と突然の三島ディスが入ったりする(第7巻)。

4.現代歌人文庫(国文社)

今回の追加分には国文社「現代歌人文庫」11冊含まれています。

個人送信追加分

⑤『浜田到歌集』(1980.01)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12474873
⑬『河野愛子歌集』(1978.09)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12497424
⑭『岡野弘彦歌集』(1979.03)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12547645
⑱『岸上大作歌集』(1980.08)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12494707
⑲『清原日出夫歌集』(1980.12)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12494706
㉑『小野茂樹歌集』(1982.09)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12548362
㉔『村木道彦歌集』(1979.01)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12540767
※NDLでは㉓と登録されているが誤り。
㉖菱川善夫『歌のありか』(1980.06)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12459784
㉗『篠弘歌論集』(1979.08)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12459926
㉘『冨士田元彦短歌論集』(1979.12)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12459927
㉚岩田正『現代短歌の世界』(1981.05)
https://dl.ndl.go.jp/pid/12459785

ちなみに残りの巻は以下の通り。

国会図書館のみ・デジタル化済

②『岡井隆歌集』(1977.10)
③『寺山修司歌集』(1983.11)
④『中城ふみ子歌集』(1981.03)
⑥『葛原妙子歌集』(1986.04)
⑦『石川不二子歌集』(1986.09)
⑧『前登志夫歌集』(1978.02)
⑨『安永蕗子歌集』(1978.05)
⑩『春日井建歌集』(1977.06)
⑪『山中智恵子歌集』(1977.12)
⑮『馬場あき子歌集』(1978.04)
⑯『島田修二歌集』(1978.07)
⑰『田井安曇歌集』(1979.05)
⑳『平井弘歌集』(1979.01)
㉒『浜田康敬歌集』(1978.08)
㉓『佐佐木幸綱歌集』(1977.09)

蔵書あり・デジタル化作業中(20240502現在)

①『塚本邦雄歌集』(1988.09)
⑫『滝沢亘歌集』(1987.09)
㉙吉田弥寿夫『短歌・ジャンルと文体』(1990.12)
㉛『続 塚本邦雄歌集』(1998.12)

蔵書あり

㉟『続 春日井建歌集』(2004.12)
㊳『続 福島泰樹歌集』(2000.10)
㊴『寺山修司短歌論集』(2009.08)
㊵『中井英夫短歌論集』(2001.11)

蔵書なし

㉕『福島泰樹歌集』(1980.06)

……え??? まあ『バリケード・一九六六年二月』(新星書房・1969.10)は単体で読めるからいいか……

次回は出版社ごとに検索する予定です。いつ終わるんだこれ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?