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『枕草子』朗詠 第五段「大進生昌の家に」②さぶらはむはいかに


梗概

中宮のもとを下がった後、清少納言は、他の若い女房らと同室で眠りました。
その部屋の障子の一部に掛け金がないことを、主人の生昌は知っていて、眠る清少納言の寝所に忍び込もうとしてきます。夜這いですね。
ほんの少しだけ障子を開けて、「そちらへ伺ってよいですか」
と繰り返し言う声に驚き、(そんな浮ついた人には思えなかったのに、気が大きくなったと見える)と、
家の門が狭い文句を言った先のことを引き合いに、
「家の門のことは言いましたが、障子をあけて、なんて言ってませんけど」
「その話もしたいので、そちらへ伺ってよろしいですか」
と、さらに言うのを、
他の女房たちと共に、「まー図々しいわね」「見苦しい」などと笑い合い、
「おや、他の人たちもいらしたのですか」なんて言い訳がましく退散していくのを、
「入りたいなら入ってくればいいものを、夜這いしていいかと言われて、いいですよ、なんて誰がいうもんですか」
と、さんざんに笑います。
そのことを、翌朝、定子中宮に申し上げると、中宮は、
「あらあら。そんなふうにけなして、可哀想に」と言いつつ、お笑いになられました。
というところでしょうか。

『源氏物語』などにも、いきなり押し入ってきて力づくでことをおこなう男性が描かれますが、
生昌は、そこまで野卑ではないあたり、わきまえていると言えるのではないかと思いますが、
清少納言としては、そういうところを、ヘタレな小物野郎…と揶揄したいのかもしれません。

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