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日本の曲に、日本が見つからない

今日も音の話。

私が愛用している琴は、即興向きで、曲を弾くのには適していないし、
そのぶん、即興で歌や調べを導きやすいから、
もともとそのつもりで活用しています。

既存の曲を演奏したいなら、他に、いくらでも楽器はあるし、一応の経験はあるので、そちらを選ぶわけで、
今の私的には、既存でない自由奏ができるほうを、選びたい心境。

最近手に入れて、絶讚愛着中の、
“ネワールの横笛”
これもいずれは、琴同様に即興に使えるようになるつもりで、自己習得していますが、

まずは音を知る練習として、耳に触れて残った曲を、譜を作りつつ、奏でて楽しんでいます。

きっかけが、中国のドラマの曲だったせいもあり、You Tubeなどで耳にとまり吹きたくなった曲は、どうも中国のものが多くて。

このかたの記事が、とても興味深かったのですが、

中国の作品、映画やドラマ、アニメなどは、架空古代ものが多く流行するようで、
サントラや挿入歌に、古琴や古筝、二胡、簫、笛子などの古典的な調べが使われているものが多く、

それが本当に、大河の流れのように情趣的で美しい調べなので、
おかげさまで、笛子奏者の美しい動画から、惹かれて耳コピした曲を、練習に使うことが多くなりました。

使われているらしいドラマやアニメを、まったく知らないし、歌詞があっても言葉がわからないから、
他愛なくいいなぁ…で、曲に憧れて吹いていますが、
もし知ってる人に聴かれたら、
「あんた、そんなにBL作品が好きなのか」
と思われかねない曲も、あるのかもしれません(『魔道祖師』がそうだった 汗)

まぁ、知らぬが仏というか…音楽に責任はないと思う(^^ゞ

でも、ことさらに中国音楽にこだわってるわけではないし、
私の笛も琴も、中国の伝統のものではないのだから、
最近は日常で耳にする音楽に、吹けそうな、吹きたくなるような曲はないか、耳をそばだてているのですが…

意外と日本の音楽では、見つからないのが不思議です。

日本古来の伝統音楽(能楽・邦楽の囃子や雅楽の曲など)は、自分も心得があるし、分野の格式をよく知っているから、敷居が高くて真似しづらく、

日本の時代劇などのテーマ音楽も、改めて聴くと、
部分的に、効果として和楽器が使われていても、ほぼ洋楽オーケストラだと気がつきます。

なぜだろう…と思いますね。
日本らしい情緒の、特に和楽器のテーマ曲を、ほとんど日本で聴くことがない。

日本の時代物で、戦国や江戸時代の時代劇以外では、
割りと若い世代にも流行りがちなのは、近代(明治中期〜昭和初期くらいまで)の、いわゆる大正ロマンな雰囲気でしょうか。
テーマ曲に、箏曲や尺八、大正琴やマンドリンを使うことはあるようですが、
でもこの時代のイメージ音楽って、さりげなく支那情緒の調べで、やっぱり中国チックな気がする。

他方面では、和楽器バンドのような、和楽器奏者たちの新開拓も見られますけれど、

日本て、宮廷音楽の世界でも、比較的早くに、日本の伝統音楽を手放している印象があります。
(宮内庁楽部でも、伝統として雅楽を守っていますが、明治以降、宮廷音楽として西洋楽器を担当せねばならなくなっていると聞きます)

なんだか…残念な感じ。
チョンマゲや着物や、忍者みたいな、それらしい見てくれだけでなく、
もっと日本文化を表現する道は、いくらでもあるのに。

少し、そのことに触れて書いたこともありますが、

これでは、日本にありながら、日本より、
架空古代中国が舞台の幻想もののほうが、好まれやすいのは、無理もないように思います。
歴史を知らなくても、音楽が、雰囲気に導いてくれますから。

まぁ私にしても、「和」を意識した活動で、和歌を歌ったり、有職故実を語ることがありながら、
伝統や格式にとらわれず、けれども日本情緒を再現したいと思いつつ、
“固定した型”のようなものに束縛されるのを厭うて、
琴のねに似た響きを出せる創作琴や、創作鈴、
海外の汎用していない横笛などを使って、
和の響きを模すようにしているのですが。

革新させたいけれど、守りたいがために変化を許しづらい、
その垣根が、日本文化の現時点での制約になり、限界にもなっているのかと、思うことがあります。

守るのも大事だから賛成ですが、
別モノとなってもいいから、
似たものの情趣で、日本らしさの革新的創作を模索する必要もあると思う。

…そんな大願を抱きつつ、

いつか自由奏において、私なりの日本情緒を表現できるよう、励み、
今は、

音に学ぶ

これあるのみ。

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