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思想トリップと相成り〼

 最近買った本のレビューを読んでいたら、思想トリップができる内容でしたとあった。なんじゃいそれ、LSDでもキメたんかと思って読み始めると、なるほど、こいつは思想トリップですわとなった。
 トリップという単語には多くの意味を持っているがここでは二つの意味に焦点を絞る。一つは、旅や旅行、外出などといった行動を表す意味。もう一つは、薬物使用によるサイケデリックな体験を示す意味がある。右のレビュアーがどちらの意味で思想トリップという単語を使用したのかわからないが、個人的には前者も後者も両方の意味を含んで使用しているのではないかなと思う。そのぐらい、思想をめぐる引用や考察(しかも文章が超うまい)がいったり来たりしており脳内で整理することが大変。
 しかも、この状態が長く続き混乱を引き起こすが、とびぬけて上手い文章で最終的には何となく理解できた気になれる。これを何度も反復すると、なぜか全体的なものを理解できた気持ちになり、うおぉ、これこそが文章により引き起こされたトリップ!すべて、すべてを理解したぞ!と全能感にアクセスし、さらにそこに飲酒による酩酊が加われば、マーク・フィッシャーによる資本主義リアリズム…サイバネティクスと恒常性…と虚空に向かってブツクサ呟く廃人が完成と相成り〼。あぁ、薬物なんて始めからいらなかったんだな。
 して、今読んでいる『失われた未来を求めて』(木澤佐登志 著)とはあまり関係のないことを認めたが、社会思想・政治思想にフォーカスしたものを久しぶりに摂取しているもんだから、脳の眠らせていたエリアが活性化しているようで大分心地がいい。いい本でっせこれは。

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