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凄いぞ、土木偉人かるた。

最近親しくしていただいた方から「土木偉人かるた」をいただいた。日本の土木技術に貢献してきた48人を選出した教育ツールである。範囲は多岐にわたる。空海、織田信長から後藤新平、廣井勇といった日本の先駆者から、ベルヌーイ、テルツアッギー、ハワードといった外国人技術者まで、幅広い偉人たちをピックアップし、「かるた」とした。

こんな感じ。味のあるデザイン。

さすがに48人の選出となると、土木の世界に長居する僕でも、初めて名を聞く偉人が結構いる。例えば、琵琶湖疎水を作った田辺朔郎、歌舞伎町の命名者の石川栄耀は、正直初耳である。いやいやこんなに偉人がいるのか。実はすごいぞ土木業界w

ガウディ、カラトラバ、ブルーノタウトなど、建築史に燦然と輝く偉人はよく知られている。一般の方でもその名を聞いたことがあるだろう。しかし土木史の中で、誰か偉人を挙げてみようと思っても、何人名前がでてくるだろうか。そもそも土木と建築の違いもわからない人も多くいる。残念ながらそれが現実なのだ。

ジャンル・性格の違いもあろう。建築の場合は、意匠が働く建造物デザインが根底にあるので、個人としての功績が残りやすい。でも土木の場合は、道路・河川・ダム・空港・都市計画という風に構造物がマッシブ・抽象的なので、設計施工プロセスは自ずと集団思考・集団労働テイストが強くなる。個人の意思や裁量が働く機会は少ない。だから、建築デザイナーは存在しても、土木デザイナーは存在しない。

でも、このかるたで、土木史の中にもこれだけの先駆者・偉人がいたことがわかった。中には、戦国武将、宗教家、政治家も存在するが、皆「土木技術者」としての気概を持って、インフラを整備した偉人である。

子供や若者が憧れる業界には、必ず先駆者やヒーローが存在する。建築には前述の偉人、YouTuberにはヒカキン、野球界には大谷翔平。うちの業界のリクルータ達が土木の魅力を紹介する時に、この48人の功績を彼らに伝えてあげたら、違った展開が見えてくるのではないだろうか。

例えば、武田信玄の信玄堤は今進めようとする流域治水のプロトタイプだ。八田與一の台湾貢献は今のNGOや国境なき医師団と主義を共通するものがある。ハワードの田園都市構想、当時は異端な都市計画であったが、彼だけが都市の遠い未来を見通していた。いわばビジョナリー的な観点を持っていた戦略家である。そう考えると、彼らの功績というのは現代のサクセスストーリーと相通じるものがある。

このような逸話やストーリーを若手世代に伝えてみたらどうだろう。これまでの土木業界へのリクルートは、世のため人のためといった貢献、使命感といった何やら息の詰まるようなフレーズを中心に口説いてきた。でもうまくいっていないのは周知の事実である。切り口を変えないと、未来の担い手は入ってこない気がするのだ。この48人をヒーロー・先駆者とし、土木のダイナミズムや影響力の大きさを伝える。振り向く人間が出てくるかもしれない。

これを発行した土木学会の方々の深掘り&情熱に頭が下がる。業界への愛着を感じる素晴らしい取組だと思う。若手から管理職までの組織研修にも十分使えるし、子供たちへの教科書としても活用できる。うちの研修担当者に紹介してみようと思う。何か面白い企画が生まれるかもしれない!

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