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【専門医解説】50歳を過ぎたらアルコールはありorなし?身体の変化とお酒との上手な付き合い方



はじめに

お酒は人生の楽しみの一つですが、50歳を過ぎるとアルコールとの付き合い方を考え直すことが重要になります。WHOの報告によると、アルコール関連で毎年全世界で300万人以上が命を落としているといいます。特に50歳以上では肝臓や心血管系、ホルモンバランスなどに影響を及ぼしやすく、慎重な飲酒が求められます。本記事では、アルコールのメリットとリスク、そして健康的に楽しむためのポイントを解説します。


アルコールのメリット

「リラックス効果とストレス解消 」

アルコールは脳内の神経伝達物質GABA(ガンマアミノ酪酸)を増やし、リラックス効果をもたらします。GABAが増えると、不安や緊張が和らぎ、気分が穏やかになります。そのため、適量の飲酒は社交の場での緊張を和らげたり、リラックスを助けることがあります。

「フレンチパラドックスと赤ワインの健康効果 」

フランス人は脂肪分の多い食事を好むにもかかわらず、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが低いとされています。これは「フレンチパラドックス」と呼ばれ、赤ワインに含まれるポリフェノールが血管を健康に保つ効果を持つと考えられています。ポリフェノールは抗酸化作用を持ち、血液の流れをスムーズにする働きがあるため、適量の赤ワインは健康に良い影響を与える可能性があります。


アルコールのリスク

「 肝臓への負担 」

アルコールの代謝はすべて肝臓で行われます。しかし、50歳を過ぎると肝臓の代謝能力が低下し、少量の飲酒でも負担がかかりやすくなります。過度の飲酒を続けると、脂肪肝、肝硬変、肝がんのリスクが高まります。特に自覚症状が出にくい肝疾患は、健康診断で早めに異常を発見し、対策を取ることが大切です。

「 メンタルヘルスへの悪影響 」

アルコールは一時的に気分を高揚させますが、その反動でうつ症状や依存症のリスクを高めます。また、飲酒を続けると睡眠の質が悪化し、慢性的な疲労感や不安感を引き起こす可能性があります。実際に、毎晩飲酒を続けていた人が仕事のパフォーマンスを低下させ、禁酒を始めたことで睡眠が改善し、生活の質が向上したケースもあります。

「 テストステロンの減少 」

アルコールは男性ホルモンであるテストステロンの分泌を抑制します。テストステロンが減少すると、筋力低下、性欲の減退、さらには精神的不安定を引き起こします。筋トレの効果を最大限に引き出したい場合は、アルコールを控えることが重要です。

「 晩酌とうたた寝のリスク 」

加齢とともにアルコールの影響を受けやすくなり、晩酌後にうたた寝をする人が増えます。しかし、うたた寝をすると夜間の深い睡眠が妨げられ、途中で目が覚めやすくなります。特に就寝後3時間以内にトイレに起きる人は、心筋梗塞や脳卒中のリスクが4.8倍に増加するといわれています。晩酌とうたた寝の習慣がある方は、注意が必要です。

「 アルコールと尿閉の関係 」

前立腺肥大症がある人が過度の飲酒をすると、尿がまったく出なくなる「尿閉」になることがあります。アルコールは排尿を助ける筋肉の働きを弱めるため、尿道が狭くなっている人は排尿が困難になります。特に寒い季節の飲酒では「お花見尿閉」と呼ばれる現象も起こりやすく、注意が必要です。


健康的な飲み方のポイント

1. 適量を守る

日本人の適量とされるのは、純アルコール量20g以下です。

  • ビールなら500ml(中瓶1本)

  • ワインならグラス2杯程度 この範囲を超えると健康リスクが増大するため、適量を守ることが大切です。

2. 休肝日を設ける

週に2~3日はアルコールを控える日をつくることで、肝臓の負担を軽減できます。連日飲酒を続けると肝機能の低下を招きやすいため、休肝日を意識的に取り入れることが推奨されます。

3. 飲む理由を見直す

ストレス解消のために飲酒するのではなく、他のリラックス方法を取り入れることが大切です。運動や瞑想などは、アルコールよりも持続的なストレス解消効果が期待できます。

4. ノンアルコール飲料を活用する

飲み会や食事の席では、ノンアルコールビールや炭酸水を取り入れるのも効果的です。飲酒の量を減らしつつ、社交の場を楽しむことができます。


まとめ

アルコールは適量を守れば楽しむことができますが、50歳を過ぎたら飲み方に注意が必要です。

◇適量を守り、休肝日を設ける。

◇晩酌とうたた寝の習慣を見直す。

◇ストレス解消目的での飲酒を控え、運動やリラックス法を取り入れる。

健康に気をつけながら、賢くお酒と付き合っていきましょう!


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