【感想133】SNS-少女たちの10日間-
12歳の頃でもSNSを介して人と会っている時点で2020年代のインターネットの普及ぶりに驚くけれど、15年前のモラルとはかけ離れた感覚が怖いし不思議だったのでそういったところの実情を知れたのは良かった。良いドキュメンタリーだ。
て、言いたかったんだよね。中身が全然違ったわ。
他人に勧めやすい ☆☆☆☆☆
個人的に好きか ★☆☆☆☆
完全ドキュメンタリーで、製作陣が12歳に見える女性を3人オーディションで選び、10日間セットとして組み上げたティーンの部屋風の場所でSNSを使い社会問題となっている性被害の状況を追っていく。
選ばれた3名にはメンタル面のケアを欠かさず、ビデオ通話やチャットをはじめとしたやり取りはスタッフの指示下で実施とかなり慎重かつ入念な庇護下で撮影されている。
とはいえやってくる男性がかなり酷い。チャット2往復目で脱げと言ったり、犬と女性がガッツリ行為をしている動画を送ったり、ビデオ通話だと真っ先にちんぽをキャストオフして見せてきたりと隠す気がさらさらない下心の出し方をしている様子が長い事見せられる。
そんな虚しい実情を見られること、それをかなり緻密に企画して行っていること、展開を追うごとに加害者の心理や態度の変化を見れるドキュメンタリーは国内ではそうない生々しさがある。
ただ気になったのが作品内に込められたメッセージ。正直、第三者が介入したおせっかいって言い方が一番合うんじゃないかっていうぐらい、加害者と被害者の掘り下げがない。
映しているのは製作陣が仕掛ける側からの視点のみなので、実際にやり取りをしていた男性陣と接触する際に苦し紛れの反論が出てくるときぐらいが当事者の声が聴ける数少ない場面かもしれない。
被害者女性についても12歳頃と映像作品として残すには難しい年ごろで、性に関することなのもあって顔出しはもちろん出演自体を親目線でNGを出される可能性はかなり高いとは思う。
難しい要素があるのは承知しつつも、そこに切り込んだりチャレンジしようという気概はあまり受け取れず、加害男性の劣悪さを訴えるための作品だなっていうのが正直な第一印象だった。
良い作品には必ず問いかけがある、ていうのは(どこで見たか忘れたけれど)よく覚えている言葉で、それに沿って言うならば問いかけられたってよりかは主張されたっていう方が感覚的に合うかもしれない。
警察へ資料提供を行ったとはあったけれど、それによって5年10年後に製作陣が願う良い方向へ進んでいるのかはわからないなぁとは思った。