【感想106】DOGMAN
ゴミ捨て場の決戦を見に行く前に月島の合宿のシーンだけ見たいなと思って初めてアニメ2期見てたけれど、白鳥沢戦のこと思い出して3期、選抜合宿の事を思い出して4期まで…て感じで結局アニメ完走するまで見に行くことはなさそう。女オタクの皆さんは程よく劇場に通って上映を絶やさないでいてほしい。
他人に勧めやすい ★★★☆☆
個人的に好きか ★★★★☆
トッド・フィリップスの『ジョーカー』に刺激を受けてるのがわかりやすい、リュック・ベッソン版って言い換えても通じなくはない内容。
犬への作中の扱いも全然ひどいものはないしゴアな表現もマイルドなものばかりなので過激具合としてはあまり強くはないけれど、時間いっぱい使って語られる男の人生を辿る話は魅力的に感じたし面白かった。
まず必然性を持たせる要素を散りばめてるのがうまくて、バラバラになっている時系列描写でも徐々につながっていく感覚は凄く心地よかった。
最初に登場するシーンが女装している姿と奇妙さがあるけれど、幼少期に父親に監禁されていた時に読んでいた雑誌の内容が後のドラァグクイーンとして働くことへの導線となっていて、そこから今の格好をしていることがわかったり途中差し込まれた日常のワンシーンのような内容も本筋に大きくかかわる出来事のきっかけだったりと、終盤に行くほど伏線として用意された要素が程よいテンポで活かされていくのが個人的に好きな感じだったのでラストまでの持っていき方は結構前のめりになれた。
暴力を振るっていた父親の生計の立て方が闘犬の育成、さらに家では唯一犬たちに愛情をもって接していた。というのもあって犬との間にしっかりと信頼関係を築いていることを描きつつ、人だから立場が上だと見えるような言葉遣いもなくお互いに協力して生活している様子を見せていたりと、『ジョーカー』とは完全に異なる点として良き理解者がいることは単なるパクリにならないいいアクセントになってたと思う。
犬以外にもちゃんと人とのコミュニケーションは取れて生活をしていたりする様子は見れるので、孤立せざるを得なかった男というよりは父親からの境遇に振り回された男、という目線で見ていた方がいいかもしれない。
順当に面白映画として見れて楽しかったけれど、ラストの「ほら、ここでこういう演出やりますよ!!!」て言いたげな構図でノソノソ動き始めたところで笑わされたのは本当にやめてほしかった。そこはもうちょっと隠しといてくれや、というか裏切る構図だろ.…と思ったらドストレートなもので〆られるので、見る人はそこだけちょっと楽しみにしててほしい。