【感想34】依存魔
SVシリーズ2は3000位内目指します。
原題は『ADRATION』で、フランス語で「礼拝」らしいけれど、めちゃくちゃピッタリだなって思う。
あらすじとしては「精神病棟で母親の手伝いをしている少年が、複雑な事情を抱えている女の子を連れだすロードムービー」て話。
ベルギー闇の3部作と言われているけれど、これはだいぶ可愛らしいプロットなので大丈夫。
シネマート新宿で1日1回しかやってないけれど、とりあえず行けるときに見てほしいです。
で、感想としてはだいぶ好みよりの話だった。
序盤の病棟での描写が後々効いてくる演出だったなぁっていうのに気づくまでの時間が心地よかった。
グロリア(女の子の方)は病院にいる間はだいぶまともっぽく見えるのが特によくて、「病棟に入るっことはまぁそうなんだろうけど...」て感じで若干疑わしいぐらいの温度感をポール(男の子の方)の目線を通して見るんだけれど、ちゃんと中盤でテンプレヒステリックを起こすという答え合わせが始まるしこのヒステリックがしっかり最後まで発動する。
ポールはポールで表題通りの人間性なので、普通ならここで仲違いするだろって場面でも一緒にいること前提で考えているから、突き放すとか逃げるとかそういう当たり前のように出てくる選択肢が一切ない進み方をしてくるので中盤以降は終始ゾクゾクしながら見れる。
最初のうちは逃避行を2人だけで行っていたのもあって異常さが目立たなかったのが、3人家族や似たように歪んだ精神を持つ人が介入することによってよりわかりやすく際立っていくのも面白い。
アメリカ映画や邦画コメディのようにわかりやすいリアクションはなしで、リアリティあるリアクションの応酬があるのでスリラー系の映画だとその時には真意はわからないけれど後々理解できる感じの演出がいい味になっている。
ぬるいとは言われてるけれど、程よい緊張感で走っていく感じはこの映画にあってると思う。
ラストシーンのやり取りも好きだし、結構人に薦めたいなって思えるぐらい好みに刺さったし面白かったです。
やっぱりわかりやすいホラー演出より、じっくり神経を詰めてくるタイプのホラーのほうが好きで面白いんだなと。ほか2作も時間見つけていきたいな。