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【感想156.5】最近見た映画の感想集④
年末なので、総決算として。
下半期からはFilmarksで数行の感想は残すようにしているけれど、その中でももう少し具体的に、とはいえ記事一本かくほどでもないものをピックアップしています。
映画館で見た映画
若き見知らぬ者たち
久しぶりに全編通してつらいッピ…て弱音を吐いてた。本編に対する、悪い意味で。
社会の下層を生きる、ヤングケアラーをしている主人公の彩人を中心に描いているはずなのに響いてくる何かは特にない。というのも露悪的な表現がかなり多くて、特に警察があからさまな腐敗組織的な描き方を説明なしに展開してくる。
そのせいで監督に対して疑心暗鬼になったせいかもしれないけれど、回想を挟み込むときの演出や終盤にある総合格闘技の試合はかなり面白かった。とはいえその試合に物語としてのカタルシスは感じにくかったりと、褒める所はあるけれど…な映画だった。
『ナミビアの砂漠』『HAPPY END』『ぼくのお日さま』と並んで新鋭監督として雑誌に特集が組まれていたけれど、この3つと比べると…。
ルックバック
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0DH28MLNL/ref=atv_hm_hom_c_TbVpuk_2_6?jic=8%7CEgRzdm9k
押山清高への恐れが一層増す時間だった。
物語自体は面白いことはわかってはいるけれど、それを削ぎ落ちる部分なく映像化してかつ演者や音楽で減点されるようなことなく真っ当に評価されるものを出す。これを成し遂げているのが怖い。
個人的には貧乏ゆすりをするシーンの滑らかさが異質で、あんな所作で嫌悪感以外の強い感情を抱かされるアニメーションの表現に脱帽した。
とはいえ実は絶賛してはいない方です。
讃美歌に近い音楽を取り入れているせいでどうしても物語を美しいものへと押し上げられている空気が受け入れ難くて、ここでのちぐはぐさが気味悪いので好みの観点では微妙にノリきれないな、という感想。
クラブ・ゼロ
ままならなさによる恐怖ならブラムハウスを優に超えるホラー映画になってる。
ポップな色合いの学校内で繰り広げられるクローズドサークルでの一幕。なんだけれど、気味悪さが終始止まらない。
拒食を促すどころか嘔吐したものを再度摂食するシーンがあったりと、何かを食べながらの鑑賞が一切向かない。加えて新興宗教に取り込まれていく様をイチから描写しているというのもあって、視覚的にも精神的にも体力が十分にないと見るのは難しいと思う。
この作品内の悪いところが容易に想像できる弊害が子どもたちには起きていないところ。そのせいで本当にこの食事法は効果があるのでは?と思わせられるし、意図的な製作からの介入を感じるような、目を覚まさせる何かがないのでどんどんのめり込んでいく様を見届ける事しかできなくなる。
この気味悪さは説教や教鞭を取るようなスタンスでは出ない、問いかける形だから出てくる心地悪さだと思う。
配信で見た映画
ブルービートル
ちゃんと味がするSSUって感じ。『クレイヴン』が一番近いかも。
図らずも強大すぎる力を得てしまったハイメが、その力との折り合いをつけていく過程を通して家族とのつながりを確かめていく物語なので王道のヒーローオリジンとして面白い。
既視感あるシステムとキャラ像の組み合わせではあるけれど、2020年代半ばにここまで直球勝負のアメコミ映画を出すっていう意味ではめちゃくちゃいいなと思った。
他のNetFlix作品には脚本で劣ってしまうかもしれないけれど、ワイワイ楽しめる、MCUからの寄り道としてはいいチョイスになると思う。