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【感想46】エスター ファースト・キル

 前作見た時も思ったけれど、ホラー苦手な人が慣らしで見るのにお勧めするのがこの映画になると思う。
それぐらいキッツイホラー描写は少ないってことではあるんだけれど、演出の力で怖さは前日譚になる今作でも損なっていないし、バカバカしさは(あるっちゃあるけど)ないので純粋なホラー映画として楽しみ始めるための第一歩としてはちょうどいいと思う。これ以上を望むなら『ダークグラス』見に行くのが正しいと思うし。

 前作『エスター』で語られたエスターの一家全焼から孤児院に預けられる経緯を描いている前日譚。副題になっているファーストキルはエスターにとっての、という意味になることからなんだろう。本名はリーナ、そこから自分に似ている行方不明の女の子がいる家庭に滑り込みエスターとして生き始めるというトンデモ移民となっているので、ある意味エスター誕生譚にもなっている。

 エスターが何者なのかという前作の大オチは明かされている前提で進むので、序盤に思い出してくれって感じで全部説明してくれる。
前作とは大体似た手口で家族に入り込むわけだけれど、そのうえで今作ではまた一味違った話の転がり方になってくる。
というのも、その家族の中で行方不明になっていたエスターの受け入れられ方から違和感が止まらない。
エスター自身の正体が見てる我々側がわかっているのもあって、気づかれるか隠し通せるかの攻防についてはあっさり終了する。けれどその後の展開が今作の肝になる部分なので、むしろそこから見入っていたぐらい面白かった。

 前作はエスターがひたすら蹂躙していくので人によってはだいぶ心臓に悪い、見ていた自分でも驚くぐらい容赦なく被害が出ていたけれど今作ではイーブンの力関係になってる。2作目あるあるっぽい。
ひたすら逃亡劇をしていた前作と、オルブライト家と接戦の攻防を繰り広げる今作。なので終盤から一気に毛色が変わる。
それでもホラー色が薄れないのはオルブライト家の描き方にあると思う。抱えている秘密に対して直接描写を挟むでもなくサラッと言及するだけなので、底知れない感じがあったりと不気味さが増すのでヤベェな~~ていう空気は拭えない感じがある。


 ラストシーンのエスターのこちらを見つめる描写や所々に差し込まれるジャンプスケアが来そうな雰囲気とか、ホラー映画として純粋に面白い部分もたくさんある。けれど今から『エスター』見てから行ってくれって勧めるほどでは…ていうのが正直な所でもある。
撮影技法の事を知ってから行くと、ハンチョウのお泊りホラー映画視聴会の宮本みたいな独り言を言いまくる最悪な人になりかねないので特にそういうのは調べないで見に行った方がいいかもしれない。自分がこれで恐怖心和らごうとしちゃったから。


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