【感想146】ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
案外楽しめた。
アクションシーンが多めになった甲斐もあるけれど、敵役を演じる池松壮亮の洗練されたアクションと人物そのもので魅了してくる。かつひと癖ある会話シーンは健在で、シリーズの持ち味をちゃんと出しつつ演者や場面、話がより豪華になってる。
良くも悪くも、いつも通りの『ベイビーわるきゅーれ』にはなっていると思う。
他人に勧めやすい ★★★★★
個人的に好きか ★★★☆☆
今作のMVPは池松壮亮。それぐらい、冬村かえでという人物の味が濃くていつまでも擦れるぐらい魅力ある敵役になっている。
今作の敵である冬村かえでは、1,2作目でメインに描いてきた主人公2人のバディとしての絆の強さと正反対の存在として打ち出される。
物語中盤ではかえでの家に侵入した主人公一派が、部屋にあった日記を調べていくのとリンクしていく形で過去を掘り下げていくけれど、この回想がちゃんと面白い掘り下げになってるのがすごくいい。
かえでが日記に自分の想いをしっかりと綴る律儀さと、内容を読んでいくことでより鮮明になってくる拘りやルーツによって、ただ強かった男に対して共感をしやすい形で開示を進めていくし、序盤での登場に至るまでの説明も兼ねられているので物語的な必然さもあるうえで人物の掘り下げをする、かなり巧いやり方になってる。ストーリーのギミックとしてはここが一番好き。
ただこの冬村かえでイイキャラだね、でこの映画の評価をしてる節があるので、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズって面白い?て聞かれたら、この『ナイスデイズ』は省いても魅力を話すことは十分できるぐらいの立ち位置だと思う。
結局、ちさととまひろが大きく関わってくる話の根幹は前田敦子演じる入鹿みなみとの衝突と和解する部分が大きい割には作劇上欲しい道中の障害要素の一面が強く、2人の役割が冬村かえでとの比較対象としての存在、ていうのが初見時の印象としては大きい。つまり敵役が魅力的過ぎて食われているってのが正直な感想。
なのですごくいいシリーズものの3作目として扱えはするけれど、最終作ってことを踏まえると2人にとって微妙にスモールスケールだし、物語として今回の話はいなくてもいけるんじゃ…?という邪念も拭いきれない、すごく中途半端な存在になってしまった。
それに反してドラマシリーズなどのメディア展開はビッグスケールになっているので、メタ視点で見ていると滑稽な状態になっていると思う。