国立民族学博物館
国立民族学博物館へ行ってきました。私は今、放送大学で学び直しをしていて、博物館学や文化人類学関係の授業で何度もこちらの博物館の展示や、研究者の方のインタビューなどが出てきて、実際に展示を見に行きたいと思っていました。
みんぱくは吹田の万博記念公園の中にあります。万博記念公園は有料の公園で、ゲートの窓口でみんぱくの観覧券を購入すると園内を無料で通行できます。今回は「ミュージアムぐるっとパス」を利用しましたので、窓口でパスを見せて通行証を受け取り、園内を通行してみんぱくへ向かいました。
お昼近くに到着して、まず食事をしてから回ることにして館内のレストランに入りました。こちらはセルフのレストランで、入り口のカウンターで食券を購入して席について待っていると、ロボットが席まで食事を持ってきてくれました。見える範囲にはカウンターで案内をして下さる係員の方おひとりだけで回せている感じで(厨房には何人かいらっしゃるのでしょうが)、すごいなーと思いました。
本館の展示は地域展示(オセアニアに始まって世界各地を回って日本で終わる構成)と通文化展示(音楽と言語についての世界の民族文化を見られる)になっており、それぞれの地域の生業となっている産業や宗教、食べ物、衣装などの資料が本当にたくさん展示してありました。ひとつひとつをじっくり見て歩くと、1日では終わらないくらいです。
各地域の、いろいろな素材で作られたバッグ類は面白かったです。ニュージーランドのこれは、あまりの可愛さに写真を撮り、欲しくなってしまいました(ショップにも売っていなかった、残念)。
音楽の展示は本当に面白くて、各地の太鼓などの打楽器、弦楽器、縦笛、アンサンブルに用いる楽器構成などの展示があり、かなりのボリュームでした。
また、日本の展示の中にはアイヌの文化や山間部に住む人たちの住居の展示、沖縄や東北地方の展示など細かく分かれていました。ラストのコーナーは日本に住む、外国にルーツを持つ人たちの多さ、他民族国家としての日本を考える内容でした。
放送大学の文化人類学関連の授業によく出てこられる池谷和信先生の長年のご研究の成果である、狩猟に関する展示を見ました。狩猟に用いる道具や、実際に狩りをしている映像が展示のメインで、映像は撮影禁止なので紹介は入口のパネルだけで寂しいですが…。先生は実際に極北のハンターに弟子入りをして狩猟の技術や知識を得られたそうです。狩猟は、ただ単に食料を得るというだけではなく、娯楽のような楽しみや、獲物の分かち合いで「人とのつながり」を求め、人間らしさを作ってきました。「ペット」を飼うということも、狩猟という文化があったから。
聞き覚えのあるお声が背後から…と思ったら、池谷先生がどなたかを案内して展示の説明をしながら歩いていらっしゃってびっくりしました。考えてみたら、この建物の上の方は大学院になっていて研究者の方々はそちらにいらっしゃるのですね。
こちらの博物館の面白いところは、入館料の要らない無料のエリアにビデオテークというブースが設けられていて、世界の人々の生活を記録した番組を見ることができるところです。レストランやショップも無料ゾーンになっていて、万博公園を利用する人たちが博物館に来て食事をすることもできるようになっています。こうしたオープンなエリアが多いのは良いなと思いました。