久々に本を読み切った「居場所。(大崎洋)」
すいっち(@swiswitchblog)です。
「一気に八回読んだ」
松本人志さんの帯コメントに惹かれて「居場所。」のプロローグを読み始めました。なぜかスラスラ読めたので、その場で本書を購入しました。
その後読み進めていくと、買ったその日のうちに読み切ってしまいました。ショッピングモール内で読み始めたのですが、本書の内容に共感して、周りに他のお客さんがいる状態で泣いてしまってもいました。
そんな感じで非常に良い本だったので、おすすめポイントとともに僕の感想も交えながら紹介していこうと思います。
概要
吉本興業に入社後、ダウンタウンのマネージャーを務め、最終的に吉本興業の会長まで務め上げた大崎洋さんの著書。本書では、自身の人生から得た12の「しないこと」がまとめてあります。
本の形式的にはビジネス書になると思うのですが、自伝的エッセイであり、吉本興業に起きた騒動を当事者目線で語ったルポでもあると感じました。
それでは、本書を読んだ僕なりの感想を以下にまとめていきます。
自然体で書かれたフラットな文体
まず読んでいて感じたのは「文体が好きだな」ということ。
過剰に訴えかけてくるわけでもなければ、かといって独りよがりなわけでもない。非常に良い距離感で書かれた文章で、抵抗感なく読み進めることができました。
論を押しつけられてしまうと「しんどいな」と感じてしまうひねくれ者の僕でも、自然にスッと受け入れられました。
おそらく大崎さん本人の人柄が滲み出ているのだと感じました。それは大崎さん自身が自分を異端児だと自覚していたからこそなのかなと。だからこそ他人に自分の意見を押しつけはしないフラットさを感じ取れました。
大崎さんの自然体で書かれた文体が心地よかったです。
困難を受け流していく価値観
文章全体を通して僕と同じような思想や通念が流れていて、その自分の論をさらに補強してくれるような内容でした。
「置かれた場所で咲こうとしない」「競争しようとしない」などの壁や困難を受け流していくような考え方に共鳴しました。
自分に都合の良い考え方だから、それを擁護しているのかもしれない。でも僕の心を救ってくれるのは確かです。
「ガツガツ競争していこう」みたいな骨太な精神論は僕には無理です。それなら自分に適した部分を適宜採用していけばいいと思います。(甘い考えかもしれないけど)
ただ大崎さんが若手社員だった頃は80年代の漫才ブームだったこともあり、睡眠時間は多くても1日2~3時間で走り回っていた時期もあるそうです。
なので大崎さんのキャパが人より大きい可能性も全然ありますけどね。
ですが、そんな大崎さんの肩肘張らない価値観が詰まった一冊でした。
ダウンタウンの意外な一面
ダウンタウン二人の人間的な部分に触れられた気がしました。
松本さんの几帳面な部分や若き浜田さんの意外な弱い部分など、若い頃のダウンタウンを近くで見ていたからこそ語れるエピソードを知れます。
ネタバレしすぎるのも良くないかなと思うので、具体的なエピソードは避けます。が、マネージャー目線で語られるダウンタウン。
お笑い好きにはたまらないと思います。
また、松本さんも過去に著書で大崎さんとのエピソードを書いていました。松本さん目線から見た大崎さんが頭の片隅にあったからこそ、お互いがどう見えているのかなど多角的な視点で楽しめました。
こちらも面白いのでぜひ。
響きすぎる母親の話
母親への愛や感謝などの思いが響きました。本当に”お母ちゃん”が大好きだったのだと文章からひしひしと伝わってきます。病気の母に対して、自分の力の無さを痛感する場面が特に響きました。
僕も母に今まで様々なことをしてきてもらった自覚はあります。
ですが、その恩をどれだけ返すことができたのだろうかと省みるきっかけになりました。
母への感謝の思いと自分の無力感に深く共感し、人目につくのは分かりつつも公共の場で泣いてしまいました。
まあ…自分にできることはしていきたいと思っていつつも、結局恥ずかしくて行動に移せないことも多いんですけどね。
闇営業問題に対する当事者からの視点
本書は、世間を騒がせた闇営業問題や、吉本興業の非上場化のルポでもありました。実際に騒動に関わった大崎さんが、当事者目線で書いた文章はとても興味深かったです。
もちろん渦中の当事者の意見なので、バイアスもかかっているでしょう。ですが、だからこそ吉本興業側の意見がダイレクトに伝わってくる感覚がありました。
当時はメディア側が一方的に叩く構図だったので、真相がいまいち掴めないまま外野の議論だけが異様に白熱していった感がありました。ほとぼりが冷めた今、内部で何が起きていたのか、内部の人間が何を感じていたのかを知れてよかったと思いました。
まとめ:最高のビジネス書であり、エッセイであり、ルポ
松本さんの帯コメントに惹かれて読んだわけですが、
読んだ後も「一気に八回読んだ」は非常に共感できます。
これは確かに読み返したくなるのも分かります。初めて読んだときの満足感も大きいですが、かといって胃もたれしないさっぱりとした文章で読みやすかったです。
オードリー若林さんの1冊目のエッセイ「社会人大学人見知り学部 卒業見込」は人生で何回も読み返したのですが、それと同じように人生の合間でまた読んでみたくなる本でした。
最高のビジネス書であり、自伝的エッセイであり、ルポであった本書をあなたも読んでみてはいかがでしょうか。
若林さんの1冊目のエッセイの感想について書いた記事はこちら
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