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山を泳ぐクジラ6(開業のススメ)

「肩こりを直したいならスーツと作業着を買えばいいですしー胃が痛いのと睡眠不良に効くのは自分の部屋をオートロック式にして花を育てれば治るですぞ」

 「はぁ」

「ですぞ!」

ツバメが自信満々に布袋寅泰のような決めポーズ(左腕を真っ直ぐ上に伸ばし左足を少し前に出す)モノマネなのか、顔も少し寄せているように見える


奥野ツバメ「松本城の近くで相談屋をやっている」彼女のお店は外観からは何屋さんなのかわからない昭和のタバコ屋さん的な雰囲気があり、いつも
カーテンが閉まっていて中は見えない


開業しようと考えたが何からやったら良いのかまとまらない僕に、妹の知り合いの知り合いから聞いてやっと辿りついた相談屋


一見さんお断り

ツバメの相談屋に辿りつくまでに様々な仕掛けを
クリアーしなければ彼女は現れない。本気の依頼なのかお客としてふさわしいのか?試験のような試される

小柄な体型に黒髪ショート幼顔、いつもニコニコしていて、すばしっこい一見子供のように見えるが、相談屋として現れる時は黒スーツに赤いスカーフ仕事の事となるとスイッチが入り検察官さながらの追及理論攻めする姿はとても高圧的で苦手なタイプだ

「私は貴方の上司でも雇い主でもありません。この提案は別にやらなくても良いですょ、」


「忙しい、向いてない、やりたくない、そこまで本気じゃないなら、 好きにして下さい。貴方の人生しょせんその程度の夢なんでしょうね、」


相談に対して提案されることは、とっぴな事が多くて考えさせられる。やってやれないことではないからたちが悪い 

極論というか、正論なのか、返す言葉が見つからないから結局提案を受け入れているウチに開業まで何とか辿りついた


座右の銘は急がば回れでございます


始めて出会った時の挨拶が、両足の踵をビタッとつけペコッとお辞儀しながら

「私です!座右の銘は急がば回れでございます」

今思えばだけど、急がば回れ!って宣戦布告みたいに彼女の方針を伝えられていたから的外れに思えた提案もやってみれば納得せざるえない


経営者は結果が全て

勤め人は時間を拘束され時間を売って対価を得る給料を保証される代わりに自由な行動も長期的な旅行も、場面によっては会社の押し付けられる理念に縛られプライベートすら犠牲にするからストレスが生じる

経営者は自由だ!時間もお金も自分の意のままに出来るし、従業員も好きに操れるだろう!なんて考えていたが、あれから半年毎日忙しいのに稼げていない



実際は個人営業自己責任成果報酬

誰がお客様になるかわからないので、髭をちゃんとソリ何処に出て行っても服装にも気を使う


営業時間を設定したらその時間は責任者としてトラブルにも対応しながら従業員のスケジュール管理を始めとする様々な問題を解決して、税金を納売上がなくても給料が発生するので借入を起こさなければ運営はたちまちストップする

時間という概念が無くなる

売上を追うことに疲れても借金を返済する為日々営業に歩くこんなに毎日朝から夜中まで仕事しているのに、自分には給料がない


「社長〜、明日ちょっと用事あるんでぇ休みもらいますねー」

従業員が突然休みを相談ではなく、当然の権利のように報告してくるから返す言葉もない


どうしてこうなった?


長年勤めていた職場が無くなり無職

開業を志すも何をどうしたら良いか思いつかない

藁にもすがる思いで相談屋へ辿りつく、奥野ツバメに相談して


自分が何がしたいのか?を炙り出し

自分の資質(性格)にあった商売を提案され

古民家+倉庫物件を紹介されフリーマケット場を開業


始めた当初は楽しかった


勤め人では無いので好きな時間に目覚め、夜中までゲームをしたり、仲間を呼びキャンプをしたりして週末はいつも溜まり場になっていたからそれなりに楽しかったけど、家賃収入を計画していたテナントは埋まらないまま時が過ぎ、一念発起して友人の紹介を煽り従業員を雇い雑貨屋を始める

その他提案された商売を片っ端から手を出してみたが、村中歩いて一軒ずつ御用聞きをして回るも
仕事にはありつけず、畑にも種を蒔いてほったらかしの植物は雑草に埋もれ日が当たらず枯れてしまった

SNSを使うも集客が出来ず、従業員が退屈過ぎていつもスマホをいじっている

知り合いからインフルエンサーを紹介され毎月12万支払って動画を投稿してもらうと、最初はそれなりに話題になり、多少集客も出来たが半年もしないうちに下火になり赤字が続く

社長同士の交流会に誘われ見栄の張り合いに無益な飲み会などで気がつけば借金まみれになってしまった。


「ごきげんよう松本氏、如何お過ごしかしらかしら?」

ツバメからLINEが送られて来た

「おかげさまで借金まみれです」

こんな状況になったのも奥野ツバメに相談してからのような気がして皮肉たっぷりで返してやった

「あら、良かったですね借金も財産です、松本氏その金額分だけ信用があるって証拠ですわ」

と返ってきた。やはり彼女のほうが1枚上手なようだな


目標カレンダー

相談屋のクライアントに配っているらしく僕の所にも送られて来た


経営者に必要なのはセルフコントロールシステムと売上目標+日経表カレンダー 


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