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庭、アリスと不思議なマイクロフォン
終演後、わたしが帰ろうとしたら誰も触ってないマイクがきゅうにバチボコって音を立てた。風とともにあらわれた服部剛さんが、「誰かいるよぉ、おれ誰だかわかるよぉ」と酔っ払った顔で言った。
「鶴山さんでしょ」
わあっ、まじ!?という気持ちと、そうだよねぇ!という気持ちが入り混じる。
ZULUさん、観にきてくれていたの?
ZULUさんがあの場所で、ZULUさんの大切な宝物みたいな詩をわたしに読ませてくれたあのマイク前の景色を思い出す。わたしのふざけた声。腹から声出せ、マイクとはこう距離をとれ、そうやって教えてくれたのもZULUさんだったんだよなぁ。
わたしはたまらなく寂しくなって、初日の本番が終わってしまったのもあってより寂しくなって、寂しさでぼたぼたになってしまう。
アリス、あなたは寂しいとか、認められたいとか、もしかしたらそういうのをもうとっくにどっかの旅路に置いてきたのかもしれないね。指をしゃぶるみたいにひとを求める姿勢があなたにはないから。きっと狂いそうなほどの衝動があなたを突き動かしている。同じところにはいられない。何かしないといられない。何かしたい。知りたい。どうにかしたい。なんか変な世の中だ。なんか変なことが起こってる。でもなんか面白い方法でどうにかなりそうだってのぞみもきっとあなたは持っている。どうにかなるだろってあんまり深く考えないで飛んでっちゃう、新幹線よりもはやいのぞみ。あなたが生まれてからの時代にきっと新幹線なんか無いだろうけど。
「こわくないの?」
わたしがアリスの背中にそうたずねるとき、その背中はわたしの形のようでいてまた別の形なんだ、でも他人じゃない、わたしはアリスに乗り込むみたいにして、アリスがわたしに乗り込むみたいにして、合図とともに重なり合うんだ。
「こわくないよ。」
アリスはそう言ってくれるかな。確信持てないな。だって、怖さをはっきりと否定できるほどアリスは弱くないから。
たぶんもしかしたら笑うかもしれない。だって、行ってみなきゃわかんないじゃん!って飛び跳ねて行ってしまうかも。でももう見失わないんだ。いつだってアリスの行く先も、歩調も、わかるんだ、音とか、ことばとか、味とかで、わかるんだ。いまのわたしにはわかるんだ。
熟れた果実みたいに、今触られたらぱちんと弾けてしまいそうな気がして、終演後に士郎さんが褒めてくれようとするのを全力で制してしまった。わはは。まだ明日がある。アリスとわたしは明日また、あの場所で重なり合う。
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※ぷろじぇくと⭐︎ぷらねっと 詩人と役者の朗読劇「庭」初日にご来場いただいた皆様、応援したくださった皆様、心を寄せてくださった皆様ほんとうにありがとうございます。
明日も頑張ります。