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コンサルティングファームはUp or Out(アップオアアウト)なのか

なぜこれを書こうと思ったのか

「コンサルティングファームはアップオアアウトというのは本当ですか?」
よく受ける質問です。

ただ、質問の背景をうかがうと、言葉が独り歩きして誤解をされている方がほとんどだと感じています。
ですので、本日はUp or Outについて解説をしたいなと思います。

そもそもUp or Outは可能なのか

外資系企業やコンサルティングファームでは昇進できないとクビ、そう捉えている方が多いと思います。
ある見方によっては正しいのですが、そもそも日本の労働法規において、
「昇進できない人をクビにする」
ということはほぼ不可能です。

それだけ日本の法律は労働者の味方なのです。

また、昇進できないことからクビまでのその間にある多くのプロセスがすっ飛ばされています。昇進できないだけでクビにしてしまっていたら、企業もいくら人を採用して育成しても間に合いません。

ですので、昇進できない(≒評価が低い)ことだけを挙げてクビにすることは不可能です。

ではなぜUp or Outなどと言われるのか

これには2つの理由があります。

①海外法人はパフォーマンスが低いことだけでもクビになり得る

たとえば、米系の企業の本社においては適用されるのは当然アメリカの法律。私もアメリカの雇用法に詳しいわけではありませんが、アメリカでは評価が低いことを持って会社が従業員を解雇することは可能です。

ただ、それがそのままその会社の日本法人に適用できるかと言うと、ノーです。なぜなら日本法人に適用されるのは日本の労働法規だからです。
繰り返しですが、日本の法律においては会社が従業員を解雇するには相当の理由が必要であり、評価が低いことだけではその理由には足りません。

②職位・給与が上がらないことや下がることがありえるから

一般的な日本の企業においては、職位が下がったり、給与が下がったりということはほとんどないと思います。会社で問題を起こしたり、勤怠不良だったりなどのケースでしょうか。

しかし、コンサルティングファームにおいては職位・給与のステイやダウンは日常茶飯事です。なぜなら、会社としても評価が高い従業員により多くの資金(給与)を分配したいと考えており、そのためには評価が低い従業員への分配を減らすということがあります。
また、年功序列ではないので、いくら年数を重ねても評価が一定水準を満たさなければ昇進しません。長く働いていることと、評価には相関が薄いからです。

なぜそのような仕組みになっているのか。
それはひとえに、コンサルティングがクライアントワークであることに起因しています。クライアントへの価値を提供するためには、パフォーマンスの高い社員を集めて報いる必要があり、そのためには資金が必要です。その資金をどこから捻出するかというと、やはりパフォーマンスが低い人からです。

ここからはご想像いただきたいのですが、同期がドンドン昇給・昇進していく。自分はうまくパフォーマンスを発揮できず、給与も上がらないし、昇進もしない。
そうなると、会社からクビと言われる前に、自分から次のキャリアを踏み出す方がほとんどです。ですので、「昇進しないとクビ」という形で、会社から解雇されるケースは実は稀であり、多くは自分から外のキャリアを選択していきます。

それらを踏まえてUp or Outは嫌だなぁ、自分には合わないなぁと感じられるようであれば、コンサルティングファーム以外でのキャリアを検討されたほうが懸命であろうと思います。
コンサルタントが高いフィーをいただいているのはクライアントに成果でお返しするためであり、そのために高い水準の仕事が求められるというのは至極当然であるということはぜひ知っておいていただきたいと思います。

甘党人事

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