見出し画像

「Bad Trip」 外伝 (NeoTokyo編)

 NeoTokyoの飲み屋街では、白磁のような美しい鯉に水色で絵を描き、それを客に鑑賞させるのが流行っていた。海外で人気の養殖された綺麗な柄の錦鯉は相変わらず値段が高く、初めのうちは陶器のように美しい鯉には高値が付いたが、次第に量産されるようになり、価格は下落した。まあよくある話だ。 
 
 鯉の売買を仕切っていたのは、半グレを従えたヤOザであったが、密売が横行し、鯉の質も落ち、ほぼ誰でもかえる値段まで下がった。そのため、どんなに安い店でも観れるようになり、白磁の鯉を肉食のイタチザメなどに襲わせて、それを見せ物としたビジネスも出てきた。
 
 ビジネスに詳しくない新興の飲み屋などは、白磁の鯉の鑑賞させる行為が厳しく取り締まりされてるのを知らず、すぐに警察が入り店の営業できなくなる事態が多発した。
 
 終いには、実の姉が、事情を知らない妹に白磁の鯉を売り付け、それを知ったやOざが妹の店に取り立てに来る事件まで起こった。お金を払わないと水槽の中にイタチザメを放し、白磁の鯉を全部食べさせる事態まで発展した。
 
 実の姉に裏切られた経営者の妹は、裁判を起こす資金もなく、高齢であったため泣き寝入りするしかなかった。
 
 この事案に関する法律もまだ検討段階ではあったが、現状長くても懲役1年、執行猶予1.5年程度だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?