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モヤモヤ、不安、怒りと付き合うために役に立った本、マンガ

わたしは、昔からどうしようもない不安や、消化しきれない怒りに悩まされてきました。将来のことが不安で悪いことが次から次へと浮かんで眠れなかったり、人から言われたちょっとした言葉を重く捉えて何度も反芻して怒ったり…。

そんな自分に良い加減嫌気がさしてていたし、はちみつコミックエッセイ描き方講座で自分の考えを振り返る必要があったのもあって、いろいろと本や漫画を読みました。役に立った本を紹介するので、同じく悩んでいる方は参考にしてみてください。

キレる私をやめたい ~夫をグーで殴る妻をやめるまで~

(田房永子 著)

この本では田房さんが抑えられない怒りが湧くことに悩み、怒りの原因に向き合い対処するまでが丁寧に描かれています。わたしも、ちょっとしたことを大ごとに捉えて、自分が否定されたと感じて勝手に傷ついたり、相手に実際にされたこと以上に怒ったりしてしまう自分に悩んでいたので、共感する部分も多く、本当に役に立ちました。
具体的には、ゲシュタルト療法と、マインドフルネスによって怒りのメカニズムを知り、気持ちを整理していく様子が描かれています。キレてしまう人は、他者に気持ちをわかってもらった経験が乏しく、自己肯定感が低く、それにより思考のクセがある…と学び(心当たりがありすぎる!)、このマンガを読んでから、コントロールできない怒りがしぶとくメラメラ沸ることが減ったかなと思います。

僕が僕であるためのパラダイムシフト

(EMI 著)

こちらは、主人公の幼少期から、鬱になった青年期、大人になり鬱に向き合って寛解するまでを丁寧に描いたセミフィクションです。わたしも学生時代に鬱と診断され、そこからだいぶ回復していますが、今だに胸が潰れるそうな不安感、抑うつ感に襲われる時があるので、自分ごととして興味深く読みました。
この本では認知行動療法とアドラー心理学が登場します。アドラー心理学は「原因があって感情が起こるのではなく、目的があって感情が起こる」「過去は存在せず現在に影響を与えない」という考えで、これにはわたしも主人公と同じくかなりの衝撃を受けました。なんとなく過去の辛かった経験が今の考え方を形成しているものだと考えていたのですが、そうではなく「そう考えたいからそう考えている」らしい。つまり、怒ったり不安になったりしてつらい状態も「自分で選んでいる」というのです。そんなことあるの?!と最初は思いましたが、主人公と一緒に噛み砕いていける内容になっているのですごく腑に落ちました。
また、この本でもアドラー心理学をバックボーンとしたゲシュタルト療法が登場します。ゲシュタルト療法の、事実と気持ちを分けて考え、自分自身の気持ちに寄り添う…という手法(考え方)のおかげで、つらい気持ちと以前よりもうまく付き合えるようになった気がします。
鬱で悩んでいる方もそうでない方も、興味深い内容かと思います。ぜひ読んでみてください。

いいかげんに生きづらさを終わらせたい: トラウマ治療体験記

(三森 みさ 著)

これは、三森さんの実体験をもとにしたエッセイで、過去に受けた性被害によるトラウマを解決するために三森さんが実践したさまざまな治療法と、治療を通じて起こった変化がとても詳細に書かれています。この本でも認知行動療法の考え方が出てきますが、インナーチャイルドの話やトラウマに対する治療法などさらに具体的で詳細な手法が書かれているとても実用的な本です。「自動思考」について書かれたパートが特に心当たりがあって刺さりました…。「鬱やトラウマや自分の思考の癖って治療しようったってどうせ治らないのでは」とわたしはどこかで思っていた節があるのですが、この本では三森さんがいろんな治療法を体を張って体験してくれているので、具体的にどう行動すればいいかがわかる上に、トラウマのメカニズムを知ることで自分の身に何が起きているのかがわかり「わたしもよくなるかも」と希望をもらえます。テーマはヘビーですし治療自体も大変だったと思うのですが、笑いも交えながらとても読みやすく構成されているのも素敵です。トラウマに悩む人にとって必要な情報をわかりやすく伝えたい!という三森さんの熱い思いがこめられた本ですので、ぜひ読んで、周囲に必要な人がいればおすすめしていただけたらと思います。
あとこの本を読むと、映画『インサイド・ヘッド』って心理学の考え方にちゃんと沿っているんだな…とわかって面白かったです。

悩み・不安・怒りを小さくするレッスン~「認知行動療法」入門~

(中島 美鈴 著)

こちらは、これまで読んだマンガに何度も登場した「認知行動療法」をもっと詳しく知りたい、と思って読みました。タイトルがまさにわたしの悩みドンピシャ…。
認知行動療法の考えがわかりやすく書かれていて、それを実際に生活に落とし込んで実践する方法も書かれています。認知行動療法によると、同じ事象でも人によってどう認知するかは異なり、その認知は、いままでの経験により体得した信念のようなものに左右される。だからこそ、その信念を自覚し、「事実」をまずあるがままで認識することが大事なのだそう。この考え方はアドラー心理学の「自分の感情は自分が選んでいる」にもつながると感じました。今を見ないで、過去や未来に目を向けているのは自分自身。じゃあ、それを止められるのも自分しかない…ということです。
この本を読み、今まで読んだマンガを何回も読んで…をくり返すことでより理解が深まり、腹落ちできました。

「今ここ」神経系エクササイズ 「はるちゃんのおにぎり」を読むと、他人の批判が気にならなくなる。

浅井咲子 (著)

この本は、三森みささんの『いいかげんに生きづらさを終わらせたい〜』の巻末に参考文献として書かれていた本です。この本は、神経の働きという医学的な検知から、「今ここにいる」感覚を鍛えてレジリエンス(困難に直面した時に立ち直り、成長できる柔軟性や適応力のこと)を身につけるための具体的な練習法が書かれています。絵本も交えてとても平易に書いてあるので理解しやすかったです。
神経からアプローチしていますが、「今ここにいる」感覚は認知行動療法やマインドフルネスともつながるものだなと思います。わたしはこの本で紹介されているエクササイズを、できる時に行なっています。

これらの本を読んだおかげで、何か起こっても、過去のことと結びつけて「またあのトラウマが再現するのでは」と不安になったり「過去がこうだったんだから未来もこうなるに違いない」といった思考から少しずつ抜け出し「今起こっている事実」と「過去のつらかった体験」「未来の不安」を分けて考えることができるようになってきました。わたしと同じように、不安感やモヤモヤ、イライラに悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

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