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短冊に願いを乗せて
小雨が降る中、ウサギとカメは桜木町駅に降り立った。ランドマークタワーに向けて歩き出すと、足早に歩く人の頭の上で、小さな傘が強い風に揺れていた。
「梅雨の季節だからこそ、楽しめる事もあると思うの。こんな日の展望台も悪くないわ」ウサギは風になびく長い髪をかき上げながら、そっとタワーを見上げた。
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SKY GARDEN までエレベーターは音もなく滑るように進み、地上273メートルの高さまで、わずか40秒で二人を運び上げた。
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世界最速のエレベーター
展望台の窓からは、灰色に煙る横浜の景色がぼんやりと見えた。「モノトーンの横浜もいいよね」カメは静かに海を見つめた。
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横浜コスモワールド
「今日はゆっくりできそうね。こうして座って景色を眺めるのが一番好きなの。それに、雨の日には特別なご褒美があるのよ。空庭慈雨っていう、青のグラデーションが美しいソーダがもらえるの」と、ウサギはグラスを揺らしながら微笑んだ。
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360度の景色を楽しみながら歩いていると、ウサギの目にふと、スカイ神社と涼やかな笹の葉が飛び込んできた。
「もうすぐ七夕ね。ここは横浜で一番、天の川に近い場所だから、願い事がきっと叶うわ」と彼女は囁くように言って、そっと短冊を手に取った。
「短冊に願いを書くなんて、久しぶりだわ。何をお願いしようかしら……」と、彼女は心の中にそっと問いかけた。
笹の葉に短冊を結びつけたウサギがゆっくりと振り返った。「あなたは何を書いたの?」彼女の瞳には小さな星がきらめいていた。
カメは顔を上げ、静かに口を開いた。「なんとなく、君と同じことを書いた気がする」その顔には、長い時間を共に過ごしてきた温かなぬくもりが感じられた。
横浜の空の下、短冊がそっと寄り添うように揺れている。まるでそれぞれの願いが共鳴し合っているかのように。
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by ウサギ
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by ウサギ