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過去からのメッセージ

その日、ウサギは図書館の奥で、分類番号210.2の棚をじっと見つめていた。あまり馴染みのないその棚には、まるで遠い過去からそっと差し出された手紙のように、静かに本が並んでいた。

その時、カメが横を通り過ぎた。
「時には、遥か昔に思いを馳せてみるのも悪くないよね。そんな過去にタイムスリップできる場所があるんだ。一緒に行ってみない?」彼の誘いに、ウサギは微笑みながら小さく頷いた。

「昔の人って、どんなふうに生きてたのかしらね?」ウサギがぽつりと呟くと、カメが優しく微笑んだ。「その答えは、きっとここで見つかるよ」ふと気がつけば、二人は時の重みが染み込んだその場所に辿り着いていた。

さいたま市「土器の館」

館内に足を踏み入れると、掘り出された土器や埴輪が、手を伸ばせば触れられそうなほどの距離で静かに並んでいる。ひんやりとした静寂の中、遠い昔の物語を二人に語りかけてくるかのようだった。

「土器は、何千年も前に粘土を素焼きして作られたものなんだけど、作るときに下に敷いていた布の跡や、お米の跡がそのまま残っていることがあるんだ」

縄文時代後期の土器

「一方、埴輪は古墳時代に作られ、死者の魂を鎮めたり、古墳が崩れないように並べられたもの。その姿から、当時の人々の服装や髪型、どんな職業だったかもわかるんだよ」

人物埴輪

「何千年も前の人々の暮らしや姿がわかるなんて、まるで過去からのメッセージみたいね」ウサギは興味深そうにショーケースの中を覗き込んだ。

馬形埴輪

「私も陶芸教室に通ってみようかしら。私が生きている、この『今』という瞬間を、未来に伝えられるように…」

「今はいろんな記録媒体があるけれど、それが未来にちゃんと伝わるかどうかなんてわからない。だから、埴輪を作ってみるのも案外悪くないかもしれないね」

二人は遥か昔に思いを馳せながら、同時に遠い未来にも心を向けていた。過去を紐解き、今を未来へとつなげたい…。そんな想いが、静かに胸の中を巡っていた。

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