
時空を超えた日
強い陽射しのもと、ウサギとカメはハラカドの屋上テラスから、神宮前交差点を見下ろしていた。「緑に囲まれて都会の交差点を眺めるのは、どこか不思議な感覚だわ」と、ウサギは長い髪をなびかせながら呟いた。

屋上テラスを背にして、エスカレーターに飛び乗ると、二人は4階で足を止めた。二人が視線を向けた先は、「NATURE CROSSING」という横断歩道だった。
二人がその空間に足を踏み入れると、最初は地面に横断歩道が一本横たわっていただけだったが、瞬く間に床がパラオの森へと変わった。まるで飛行機の窓から見えるような景色が、二人の足元に広がっていた。

床は、森からビーチへと再び移り変わった。二人の足元にはさざめく波が寄せては返し、海の音が穏やかなリズムを奏でていた。

「歩くと足跡がつくわ!どういうことなの?」ウサギはハッとして飛び上がった。


プロジェクションマッピングの興奮が冷めやらぬうちに、二人は明治通りを歩いていた。カメの足が止まった。「ここだ…」彼はそう呟くと、ウサギの手を取って店内に入った。

カメは特設コーナーの「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のフィギュアに、静かに目を奪われていた。「細かいところまで、なんてリアルなんだ!」

「しかも、タイムサーキットが1955年に設定されてるー!」と、静かにときめくカメの隣でウサギは笑いをこらえていた。「カメくんはタイムマシンが本当に大好きよね」

「今日はパラオに行ったような気分も味わえたし、過去の世界に行ったような感じもするわ」とウサギが言うと、「確かに時空を超えたね」とカメが応じた。二人は笑い合うと、街の喧騒に紛れ込んだ。