シーシャも湯呑みも手間があるからこそ「豊かさ」の体験価値が生まれる
こんにちはフォトグラファーの三浦えりです。
4月のSWAYmagazineはSWAYブランドマネージャーの梯航生さんとともに鍋島虎仙窯の番頭兼絵師の川副隆彦さんからお話を伺いします。前回はSWAYと鍋島虎仙窯によるオリジナルの湯呑みの制作についてお話をお聞きし、ものづくりの届け方へのこだわりを深堀りしました。
今回はSWAYと川副さんが共作した湯呑みを通して味わえる体験価値についてお話をお聞きします。体験価値の先にある鍋島虎仙窯とSWAYの目指すものとはどういったものなのでしょうか。
SWAYの空間で湯呑みに触れることで味わう「豊かさ」の体験価値
- SWAYの空間で湯呑みでお茶を提供することで生まれる体験価値についてもお話をお聞きしたいです。
梯:SWAYでしか味わえない体験があるとみなさんに訪れていただく動機になると思いますし、お客さんが体験することに関してはできる限りこだわりを持ちたいと考えています。
今の一人暮らしの若い世代の家には急須がなく、ペットボトルでお茶を飲む人も多いと思います。そういった方たちにSWAYで美味しいお茶を湯呑みで飲むという体験をしていただきたいという思いがとても強くあり、こうやって完成したことが嬉しいです。
川副:焼き物の特性として肌触りが良いんですよね。口当たりも他の素材よりも自然な温かさを感じると思います。湯飲みで飲んでいた時代からペットボトルで気軽に飲む時代に変わりましたが、焼き物でお茶を飲んだときの口当たりや手触りを若い人たちが集まるSWAYという場で体感してもらえるのはとても良いことだと思いますね。
川副:実際に鍋島虎仙窯でも販売はマグカップが主流になっていて、自分で湯呑みでお茶を淹れて飲むという習慣が減っているのは感じますね。
ただ、僕は豊かさを得るには手間が必要だと思っています。お茶や珈琲を飲むのも、お菓子を食べるのも、コンビニや量販店で気軽に大量に買えますが、家で時間を掛けてお茶を淹れたり、珈琲の豆を引いて淹れて飲むことで、手間は増えて時間が必要になりますが、その時間を有意義に過ごすことが豊かさに繋がると信じているんです。
梯:それはとてもいい思想ですね。
川副:手間を省略して簡単なものがいまの経済の主流になっていますよね。でも、僕たち窯元はスピードの速さや大量生産では勝てない。だからこそ、湯呑みで豊かな時間を提供することがとても重要で、僕もSWAYも「豊かさ」を伝える役割を担っていると思っています。
川副:僕が取引先の選び方で大切にしていることは、鍋島虎仙窯のビジョンでもある、「鍋島焼の文化の確立」を理解し、ブランドの背景をしっかり丁寧に伝えていただけることです。
長く愛されるものは、豊かな時間や暮らしに紐づくのだと思っています。「豊かさ」とは抽象的な言葉ですが、例えばすこし早起きしてお茶を茶器で淹れて朝の時間を有意義に過ごしたり、手間を掛けてでも過ごす時間ではないでしょうか。SWAYもこのような「豊かさ」を丁寧に伝える場なのではないかと思います。
梯:川副さんのおっしゃる通り、SWAYはそういう場でありたいですね。実際に暮らしのなかで効率化を目指してしまえば真っ先になくなるものは嗜好品ですよね。シーシャもお客さんに提供するのにとても手間がかかる。でも、やはり豊かさは手間の積み重ねの先にあるものですよね。
効率的な時代だからこそ豊かな時間を過ごしたい人は増えている
- いままでもSWAY magazineでさまざまな方からお話を聞いて、「豊かさ」はキーワードとして出てきましたよね。SWAYでシーシャを吸う2時間の過ごし方も豊かな時間のように思います。
梯:そもそもシーシャには古い歴史がありますし、シーシャを立ち上げる過程や、シーシャ通して提供するサービス、シーシャ自体の歴史やSWAYのブランドの背景など、いろいろなストーリーが集約されて、お客さんの手元にシーシャが届き2時間過ごす時間が実現しているんですよね。
- シーシャ以外にもFETCのお茶や湯呑みもあり、いろいろな思いが含まれていますね。
川副:よく仕事の打ち合わせで利用されている方もいますよね。効率を考えると駅に近いチェーン店のカフェでも良いと思います。でも、SWAYで打ち合わせをする2時間の価値は豊かな時間なのでしょうね。
梯:多くの人にそう感じてもらえるように頑張っていきたいですよね。僕は今の時代にある効率的な暮らしには疑問もあります。効率的な人生の先に何があるのだろうかーーと。
川副:効率的な時代だからこそ、本質的な豊かさを求め始めているのかもしれませんね。どちらも必要だと思うんです。効率的なものがあるからこそ、豊かさを追求する思想が生まれるのでしょうし。
- 時代の流れで効率的な日常に疲れて、豊かな時間を取り戻したいという人は増えてきているかもしれませんね。そんなときにSWAYでゆっくりと自分と向き合うのはいい時間になりそうです。
梯:そうですね。シーシャだけでなく、サウナであったり自分と向き合う時間が大切ですよね。情報が絶え間なく入ってくる現代で、ゆっくりと自分と向き合う時間を確保すること自体が難しいので、そういったきっかけを作れる豊かさのあるブランドやプロダクト、嗜好品というものには深く共感します。
川副:僕たちが湯呑みを通して届けたい思いには、「時間」というものが本当に大切な要素になっています。湯呑みを作るのも、湯呑みを使うのも、手間がかかるんですよ。大変だけど、僕たちはこれでしか勝負ができないし、この方法でしか生き残れない。難しいことではありますけど、時代に寄り添いながら乗り越えていきたいですよね。
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川副さんのお話を聞いていると、鍋島焼の文化の継承に取り組みながら、湯呑みを通して消費者に本質的な豊かさを届けることにも真摯に向き合う熱意を感じました。
それはいままで聞いてきたSWAYのみなさんからのお話にも共通する部分があるように感じます。日常のひと手間を惜しまず、丁寧に時間を過ごしていきたいと感じたお話でした。
次回は川副さんから今の時代に寄り添いながら文化を作ること、残していくことについてお話をお伺いしていきます。
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